♮048:叩頭ですけど(あるいは、巻き添え!フランチャイズ/チャイニーザー)
知った
相変わらずの手入れ行き届いた整えられ茶長髪は肩よりも下まで伸びてはいたけど。女好きしそうな端正で甘いマスクは健在で、さらに人を見下したかのような目もそのままだ。
初発の電撃一発により果てたので単なるかませ犬かと思っていたら、実は「ダメ」の裏で暗躍する謎組織「元老院」の一員であり、その後いわくありげに再登場してきたと思ったら、またキツめの熱撃を連触させられて早々に果てた。
つまり……二連荘のかませ犬ということになる……
古来よりあまり聞いたことはないが、そのような役回り・立ち回りを強いられている、要は体のいい手駒のようなものだ。誰の思惑によるものかは分からないけど。そしてそれに懲りずそこから何も学習しようとしない潔い姿勢は、呆れを通り越して感嘆すらこちらに投げつけてくるわけでもあり。
ここに来ての、この場での邂逅。それには何か運命じみたものも感じなくもなかったが……あいや、感じないか!!
ダメの力場をナメてはいけない。そしてその世界がひどくいびつで狭いということも。矢伏と僕がこうして対面したのも、おそらくはその磁場に因るもの。もうそれは丸男を拾った時点で薄々感づいていたから僕はもう驚かないし、何も感じない。
ただ、この切迫した状況に唯一空いた、「穴」であると認識をしただけだ。
キメポーズをかました姿勢のままで凍てつく場にてしばし留まっていたその5人だったけど、この間にとっととずらかるなり叩きのめすなりをしていれば良かったのだとも思った。思ったけどそれは何か火に気化する系の燃料をぶち込むような気もしたから自重していたのだけれど。
思考は核心という名のクリティカルな所をわざと避けるかのように飛び回っている。それはこれから先に進むにつれて泥沼にはまっていくのが分かっていたから。やっぱりここから何とか日常パートに戻れねえもんかな……と最早不可逆的反応が始まっていてその只中にいるくせにそんな諦観気味の思考をもつれさす他はない僕がいる。
と。
「ムロトに手は出させねえ」
おもむろに手をついていた壁から向き直り、そう絞り出すような声でのたまったのは、まだ顔色がすぐれないし、所作もふらふら状態の丸男だったわけで。その落ちくぼんだ目は死んだ魚の目そのものだったが、妖しい光をも有するちょっと何ともいえないような異様さを発している。
「……ここは俺っちに任せろぉい。だから……後は任せたぜ、ムロっちゃんよぉ」
丸男……どうしたの、そのシリアスな物言い。頭を強めに打ったとかしたのかな?
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