夢を喰む

くろふる

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【夢―ユメ】

・睡眠中に、あたかも現実の経験であるかのように感じる一連の観念や心像の事。睡眠中にもつ幻覚のこと。視覚像として現れることが多いが、聴覚・味覚・触覚・運動感覚を伴うこともある。

・かつてほぼ全ての人間が見ていたものであるが、数年前からほとんど誰も見ていない。人々が夢を見なくなった理由、夢を見なくなった正確な時期、それが段階的に起こったものなのかどうかすら、未だ不明。



【茨病―イバラビョウ】

・【いばら姫症候群】とも呼ばれる病。先進国を中心に十六年程前から爆発的に流行し始めた、死と眠りと忘却の病。

・ちょっとした出来事や、思い出などの短期記憶が曖昧になることから始まり、徐々に言語や運動方法などの重要な長期記憶が失われていく。夢を見るようになることと、眠時間が伸びていくことが特徴。

・末期は記憶はその日限りの物となり、一日の殆どを寝て過ごし、なおかつ夢から目覚めにくくなる。目覚めても、夢現ゆめうつつのような状態であり、会話すらままならない事が多い。最期には睡眠から目覚めなくなり、そのまま衰弱死する。

・致死率はほぼ百パーセントだが、奇跡的に回復する患者もいる。現行の医療では病の進行を遅らせる方法も、発症を防ぐ方法も、発症のメカニズムすらも解明できていない。


【羊―ヒツジ】

・ウシ科ヤギ亜科の鯨偶蹄目くじらぐうていもく。角をもち、主に羊毛のために家畜化されている。水平に細い瞳孔を持ち、視野が広いが奥行きを認識するのは不得意。暗いところから明るいところに移動する習性をもつ。綿羊。学名はOvis aries。メェと鳴く。



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