ちょっとサッカーの話 2020
幼卒DQN
第1話 のび太を追い出せ!
ルイス・エンリケが就任してからバルサはアイデンティティのないサッカーをしてきたが、バルベルデを解任し、チャビに断られ、キケ・セティエンが監督就任。
ペップ時代のようなサッカーを思慕していたクレが多かった、ということだろう。ペップ時代を彷彿させるティキタカを見せるときもある。しかしそもそもバルサが近年無個性なサッカーに至った理由は在籍選手の創造性不足にある。勝つために試行錯誤した結果、ポゼッションでは勝てなくなったからだ。
そしてかつてペップバルサの創造性を司ったチャビ。バルサのフロントはセティエンの前にチャビに監督就任を打診し、断られている。
チャビ就任の障害になっているのはジョゼップ・マリア・バルトメウ。バルセロナの
CLでバルサは質実剛健のバイエルンに2-8の惨敗。今のバルサで生半可なティキタカをやったらこうなるのは自明の理。
バルサはメッシの盟友ルイス・スアレスを放逐した。
メッシはバルトメウに愛想を尽かし、バルサを出ようとした。マンチェスター・シティでペップが待っている。障害は契約解除金、880億円。こんな馬鹿な額を出すチームは存在しない。会談。メッシが与えてくれるものはスポーツ面だけではない。バルサの人気とスポンサーに直結する。
バルメトウは追い込まれた。窮余の策に出る。
『メッシがクラブでの不幸の原因は会長にあると公言した場合、すぐに退任する用意がある』
これは正式な声明ではない。報道でおそらく意図的に流されたもので、つまりこの通りに公言しても本当に退任するかどうかわからない。
そしてバルサが勝てなくなったから出て行く、そんな汚名。バルトメウに責任をおっかぶせて逃亡、そんな汚名。
言われるがままにバルトメウのせいだと発言しろだって?
卑怯なやり口だと思う。『メッシはバルトメウに惨敗の責任を負わせ追い出した』なんて言われる可能性があり悪名を背負わされるかもしれない。
結局メッシは我慢して、バルサに留まることになった。残る契約期間は今シーズン限りまで。バルトメウが居座る限り、契約延長はないだろう。
バルトメウ会長の退陣を求める署名が集まり、不信任投票が行われる見通しだ。
バルトメウが辞任したら、メッシの心変わりはないだろうか。そして、チャビも。
バルサには改革が不可欠だ。だからロナルド・クーマンを招聘して、大ナタを振るわせた。クーマンと、やはりポゼッションサッカーをやる。
まず、放出。
アルトゥールはチャビの香りが漂う選手だ。だが、香りがするだけ。ラキティッチは、パサーとしては創造性に欠ける。ビダルは素晴らしいBox to Boxの選手だ。が、ポゼッションをやるためのパサーの能力が足りない」
「でも去年、アルトゥールとビダルを使った方がいいって言ってたよね」
ああ、やっぱり今日もフランはうるさい。
「それはもう移籍期間が過ぎていたからだ。去年のバルサに羅針盤を持っている選手はメッシしかいなかった。移籍期間であれば
ビダルは大抵のチームで役に立つだろう。だがセティエンの下では途端に無力になった。セティエンのバルサがポゼッションだったからだ。
ネウソン・セメドの売却は賛否あるだろうが、37億円+αで売れたのでまあ良し。代わりにデストを獲得。ククレジャはサブとして残せるものなら残したかった。自己主張が強い選手なので黙ってベンチに座ってはいないとの判断で出て行くことになった。
リキプッチも現状、能力が足りない。うまいだけでは困る。スピードがないのだから、筋肉をつけて競り合いができるようになるべきだ。
これから時間をかけ封を開けてみるまで判らない獲得選手はともかく、放出した選手は極めて妥当。
クーマンはまず緩慢だった
これは特に指導力が要る。プライドの高いバルサの選手にハードワークを要求し、手抜きに叱りつけなければならない。現状、うまくいっている。バルサの持つ自浄作用もあるだろう。
そう。
俺はバルサの持つ自浄作用を信じていた。ティキタカの愉悦に浴し、みんなよい子になる。そう思っていた。スアレスももう噛みつかない。
でも、俺の過信だったようだ。
デンベレも、きっと変わるに違いないと勝手に思っていたんだ。
まあ、ペップ以降の監督は、管理能力が低かったせいもある。
その面で、クーマンには期待している。
期待している。
実は、クーマンのやり方は、俺が以前から言っていたことに合致している。
まず、デ・ヨングを
そして何より、メッシをセンターフォワードとして使ったこと。スアレスは経年劣化が進み点取り屋の仕事しかできない選手になってしまった。
フォーメーションは4-2-3-1。トップ下にコウチーニョを配す。
コウチーニョはようやく適正ポジションを得た。バイエルンにそのポジションはなかった。フィジカルもスピードも突破力もない選手はここしか生きる道はない。
でも、コウチーニョは羅針盤を持っている。トップ下からはあらゆる方向が開けている。360度の方向にパスが出せる。創造性が発揮できる。メッシ一人に委ねられていたゲームメイクの負担が減り、化学反応が生まれる」
「でも、コウチーニョの能力不足を指摘してたよね」
はいまたフラン。こいつは俺をいじめるのを楽しんでいる。
「そうだ。
相手DF陣が手一杯になったとき、コウチーニョは気配を消し、スペースを探して、自由を得る。シャドーになる。
ただ、強豪相手はそううまくいかない。コウチーニョは対人に強くない。
コウチーニョを使うのは、格下相手に限定すべきだ。それならば十分に役に立つ。
コロナ禍で過密日程の今シーズンではターンオーバーで使うのもいい。
ここにきてアンス・ファティが本格化してきた。いや、まだまだ始まったばかりなのかもしれない。底が見えない。何せ今月18歳になる選手だ。
バルサの攻撃は左サイドのファティの推進力に依存している。ファティはボールをぐいぐい運べる。そして相手を押し込んでからバルサの料理の時間。
ようやくバルサはスピードスターを手にした。ファティがピッチに生存している限り、相手DF陣は最終ラインを上げることにリスクを負う。裏抜けがうまくなってくれればリバプールやバイエルンともやれるだろう。
翻って右サイドはグリエズマン。こっちがパッとしない。献身的に守備はする。だがリトリートされてからのアイディアが少なすぎる。アトレチコではカウンターが主な得点源だったため、欠点が目立たなかった。
昔、俺はグリエズマンを
塩酸に塩酸を混ぜるだけでは化学反応は起こらない。グリエズマンは走力と、持久力はメッシより上。オフザボールで頑張ってもらうしかないが、今のバルサにはキラーパスを出せるのがメッシしかいない。メッシはもちろんマークが付くのでそうそういいパスが来ない。
メッシは
スペイン、ウエスカの岡崎も
選手の能力見極めにおいて、クーマンは正確だ。現状すべてが正しく見える。
俺がクーマンに期待しているのはデンベレの更生だ。ローン移籍寸前までいったのも、いい薬になるかもしれない。
個人的に期待していたが大怪我でスケールダウンした選手。
齋藤学は右膝前十字靭帯損傷、スピードが落ち、魅力が減った。ジェリー・ミナはW杯、日本戦こそ欠場したが次の試合から3戦連続ヘディングゴールという離れ業をやってのけた。バルサは価値が上がりEU圏外枠になるミナを売り払い、その後、負傷。ロフタス・チークはアメリカで行われたチャリティーマッチでアキレス腱断裂。
人間、なかなか怪我をしたときのことなんて考えない。日々、食べたいものも我慢し、規則正しい節制した生活を送った者が長く選手を続けられる。長谷部みたいに。
内田篤人のようにたった一度の怪我で暗転してしまう。それがアスリートだ。
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