ユーカリ28枚目 レベルのチェックもしゃ
水袋の水を小川で入れ替えるコレットを横目にユーカリをむしゃる。
「コアラさん、お水を飲まないんですか? あれだけ動いたのに」
さっそく水袋に口をつけたコレットが小首をかしげ、訪ねてきた。
「そうだな。水は飲むこともあるけど、滅多に飲まないな」
コアラだって水は飲むことができる。だけど、水分は瑞々しいユーカリの葉で補うことができるんだよ。
今みたいににもしゃもしゃしてれば喉も潤う。ユーカリの葉は素晴らしい万能食材である。
「ごくごく……っん。お待たせしました」
「おう」
水分補給と水の補充が終わったところで、コレットが魔除けの香に火をつける。
相変わらずたまらねえ香りだ。
だが、彼女の安全を確保するためには仕方ない。炊事は地上でやらなきゃなんないしさ。
コレットは慣れた仕草で薪に火をつけ、上からお鍋をつるす。
「待っている間にスキルを見てもらってもいいか?」
「もちろんです! やった」
「俺こそ『やったー』だよ」
「えへへ。じゃあ、診た後に一つご褒美をもらってもいいですか?」
「おう?」
「後でナデナデさせてください!」
「わ、分かった」
人間の時は頭を撫でられるのは嫌いじゃあなかった。
今でも毛嫌いするわけじゃあないし、こう何とも言えぬ安心感があるんだよな。
だけど、変な鳴き声が出るから、おいそれと人に頭を撫でさせたくはないんだ。
今回は……まあ、コレットに診てもらうわけだから、うん。
決して撫でられたいわけじゃあないんだからね。勘違いしないでよね。
さて、コレットに診てもらっている間に俺も自分のステータスをチェックしておこう。しばらく見てなかったからな……。
『名前:
種族:コアラ
レベル:69
スキル:有
魔法:有』
続いてスキルだ。
『スキル一覧
ユーカリサーチ
ユーカリパワー
ステルス 熟練度 91.2
探索 熟練度 79.4
解剖学 熟練度 59.1
動物学 熟練度 74.1
罠 熟練度 0
魔法 熟練度 41.2
治療 熟練度 0.2
道具作成 熟練度 0.2
忍び足 熟練度 65.2
槍 熟練度 65.4
錬金術 熟練度 21.2
ニンジュツ 熟練度 0
キャンプ 熟練度 2.4
マッピング 熟練度 1.2』
魔法は集中的に鍛えたから結構上がってきた。魔法は呪文によって難易度があるみたいで、ピュリフィケーションが一番成功率が高い。
ピュリフィケーションならほぼ確実に発動するくらいだ。逆にホットウォーターは一番難易度が高いみたいで、今のところほぼ成功しない。
考えてみると、クリエイトウォーターをやりつつ熱湯を出すわけだから、難易度が高いのも頷ける。
「コアラさん、分かりました」
「お、おお!」
「『探索』スキルです。ドロップアイテム数の向上、敵発見率の上昇、どちらもパッシブとあります」
「おお。パッシブってことは持っているだけで勝手に発動するってことかな」
「はい。その通りです。ギフトだと『第六感』とかスキルなら『察知』とか、と同じです」
ふむふむ。パッシブスキルはそもそも発動させることができないから、例の『スキルの発動に失敗しました』が無いのね。
出ていた気もするが……パッシブ発動にミスしたってことかな。
もしくは、パッシブでも発動し、スキル使用でも発動する両方の効果を持っていた場合とかか。その線もあるな。
「他も分かるものがあれば教えて欲しい」
「はい! 本当にいろいろお持ちなのですね。人間だと二つまでですので……すごいです!」
ステルス、忍び足、槍スキルは俺の想像通りだった。
動物学はモンスターの弱点を赤い丸で示してくれるだけじゃなく、テイムスキルの成功率を底上げする効果もあるとのこと。
テイムかあ。コアラが何をテイムするんだ……?
解剖学は武器のダメージを上げてくれる効果と、治療系スキルや魔法の底上げをしてくれる。
使ってないけど、治療は文字通り「治療」を行うもの。魔法でも「ヒール」という治療効果のあるものがあるが、独立したスキルだけに治療スキルは魔力もいらず傷だけじゃなく毒も癒す。
そうそう。
博打のつもりで取ったキャンプ。こいつは俺の想像の斜め上だったが悪くない。
キャンプの意味は「ベースキャンプ」に近い。
こいつは、拠点作成のスキルだったんだよ!
熟練度によって拠点の作成範囲が広がって行く。拠点は隠遁効果があり、外部からは巧妙に隠されているように……見えるらしい。
俺自身が使用者だからその効果が実感できないのが何とも歯がゆい。
キャンプスキルは積極的に鍛えて行くとするか。いつまでコレットと一緒にいるか分からないけど、拠点で煮炊きや水浴びができれば安全に過ごすことができるだろ?
こうなってくると、道具作成やら大工(レベルが上がって取れるようになった記憶)のスキルを鍛えてもいいかもしれん。
ツリーハウスでも作って、そこで生活したら楽しそうだ。
木の上で寝るより、優雅な生活がおくれること間違いなし。
「ありがとう」
「いえ。何だか今までより詳細にスキルの効果が分かった気がするんです……」
「ギフトって産まれながらの能力だったよな」
「はい。熟練度もありませんので、気のせいだとは思うのですが……」
「成長型のギフトかもしれんぞ。コレット、自分のレベルを見てみたか?」
「いえ……え、ええええ!」
ん。
『名前:コレット・マズリエ
職業:回復術師
レベル:41
ギフト:有
スキルスロット1:軽業師 熟練度40.5
スキルスロット2:弓 熟練度37.6』
「おー。結構上がったじゃないか」
「結構どころじゃないです! おかしいくらい上がってますよ」
「俺も3つくらい一気にあがったからそんなもんじゃね?」
レベル40くらいまでは結構サクサクあがるしさ。
グレイウルフ、アーマーベア、ジャックオーランタンにヘッドレスナイトだっけ? を倒したわけだし。
たぶん、ヘッドレスナイトはグレイウルフ数体分の経験値があると思う。
「し、しかしですね」
「ヘッドレスナイトのレベルを見たんだろ?」
「は、はい。レベル76でした」
「だったら、そんなもんだろ。自分より強い奴を倒したらグンと上がるはずだ」
エルダートレントの時もそうだったしな。
「レ、レベル40……中級冒険者クラスです……」
「やったな。初級脱出じゃないか」
「け、経験がまるでないですし……実感もないです……」
「試しに弓を射ってみたら分かるんじゃないかな?」
「そ、そうですね。新しい呪文も習得できそうです」
「コアラである俺には想像もできないんだけど、例えばグレイウルフを倒すとなると中級冒険者が挑むって感じなのか?」
「グレイウルフですと、中級冒険者には少し苦しいと聞きます。四人パーティで危険を顧みず挑戦する……くらいでしょうか」
「ふむ……だったら、あの脳筋、上級冒険者か……」
興味本位で聞いてみたら、トリアノンが上級冒険者クラスだと分かった。
俺の言葉にコレットが興味を引かれたようで、目を輝かせ尋ねてくる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます