ギャルゲー生活は俺の理想か否か?

もえはぐるま

第1話 共有者との出会い

 目覚まし時計が鳴って朝になった事を告げる。今日も一日がんばらなくてはならない。今日から新学年(高校3年生)に上がり、クラス発表がある。モブキャラの俺にとってはつまらない事には変わりはないがキツい一日でもある。「あ~来てしまったか。またもや新学年によるクラス替えという名のキツいイベントの一つが。」朝食を終え俺ことハイジンは重い足を引っ張りながら学校へと登校した。

 俺には2つ目標がある。1つ目は学校へきちんと通い、赤点を取らない事。2つ目はこのモブ役的なポジションの俺にも楽しいと思えるような生活を下さいという願いである。ちなみに2つ目の楽しいと思えるような生活とは具体的にはギャルゲーとかラブコメみたいな展開である。ツインテールやらお姉さん属性やらが現れて「べ・・・別にあんたの為にこの時間まで待ってあげた訳じゃないんだからね!」というツンデレイベントとか「先輩・・・どうですか。似合いますか?」という衣装披露イベントとかが望ましい。そんなイベント(展開)が現実世界で起こるのであれば俺は「最高だぜ!リアル・ギャルゲーライフ!」というコメントになるであろう。だが現実世界ではそんなお約束なイベントなんて発生する訳ないし、そんな事は頭では理解している。でも、どこかで信じているだ。「いつかは、訪れるんだ!俺を主人公としたリアル・ギャルゲーが!」。

 そんな非現実的な事を考えながら登校をしている間に目的地である学校へ到着した瞬間から頭の中の妄想的な思考から瞬時に現実的な思考へと切り替わった。そう、ここからクラス替えという名のツラいイベントへと突入するんだ。旧クラス(2年生時)の教室にて発表があり、旧担任から「出席番号@番。お!ハイジン君か。お前さんの新クラスは3年4組な。」と言われ、さっさと新クラスの教室へと移動した。ちなみに旧担任は母親(保護者)・生徒(俺)・旧担任で進路やら成績やら学校生活の様子を対談するイベントである三者懇談の際は俺の事をあだ名であるハイジン君ではなく本名で呼ぶがそれ以外はあだ名で呼ぶ。どうやら俺のあだ名というのは愛称というレベルに達しているらしいのであったとさ。

 新クラスである3年4組への教室への移動を完了し、指定された席に着席した。そして俺は寝る。周りでは「お前。このクラス!また一緒かよ・・・とりあえずよろしくな!」とか「あーし。○○ちゃんと一緒になった!あり~。」やら割と騒がしいが俺には関係のないイベントだ。この周りで起きている出来事をイベントと解釈する時点でオタクっぽさが出てしまうが俺は人見知り思考であるから積極的ではないのである。オリエンテーションが始まるまで寝てようと思った矢先に「お~い。ハイジン氏や。」と俺に対して廊下から呼んでいた。「お~。今廊下行くわ!」とその子に対して返事をした。俺を呼んだ子はゴロ氏で数少ないオタク仲間である。ちなみに流れ的にわかっていると思うがゴロ氏というのは本名ではなくあだ名(愛称)である。「ゴロ氏は何組になった?」と俺が質問するとゴロ氏は「3組じゃ。ハイジン氏とはお隣のクラスになったのぅ。」という新クラスになってから友達と話す新しいクラスは何処だった?という典型的な会話から始まり、話の話題はいつものギャルゲーやらアニメやらのいつもの会話となった。「ハイジン氏や。聞いておくれ!ワシは「どきどきハーレムタイム」の○△たんを攻略したんじゃーい!」。「まじか!ゴロ氏!最後はどうだったん!?」。「○△たんのあの最後辺りセリフはマジ萌えぇぇぇぇぇぇぇ~。尊いじゃったよ。」。「クッソ気になる。ゴロ氏、最後のセリフ言っちゃダメだぞ。ネタバレになっちゃうから。」という友達になった時からいつもの会話をしていたら予鈴のチャイムが鳴り、自分の教室である3年4組へと入り自分の席に着席した。

 新クラス(3年4組)での長ったらしい最初のオリエンテーションを終えた後、友達であるゴロ氏や他のオタク仲間と一緒に帰ろうとしたが、ゴロ氏の3組や他のオタク仲間のクラスでは未だにオリエンテーションが続いていた為、「先に帰るね。」と連絡を入れて帰る事にした。帰りの道中にて俺は妄想的な思考と現実的な思考が混ざった様な思考になった。クラス替えや最初のオリエンテーションというキツいイベントを終えて今日のところは現実的な思考から解放されると思いきや今までの2年間の高校生活を振り返りながら帰った為か解放される事はなかったから混ざった様な思考になったのである。そして俺は心の中で思った。「つまらないしわくわくがある様な学校生活を期待していたけど、モブみたいな俺じゃ無理な話か~。3年生、いや、これからもこんなつまらなくてわくわくのない普通の生活が続くのかなぁ。」と。確かに高校に入学してから1年生では新入生歓迎合宿、2年生では修学旅行、年を通じて体育大会や文化祭といったいかにも学園らしいメインに値するイベントを経験はしてきた。だが、楽しく充実しているのはメインキャラ的な子達であり、俺みたいなモブキャラはそれなりに楽しんではいると思うが滅茶苦茶楽しいなんて思考になった事はないのである。だから俺は滅茶苦茶楽しいというわくわくがある様な学校生活を理想に掲げている。その理想に最も近いと思っているのはそう・・・ギャルゲーやラブコメみたいな展開である。そんな事を思ったり考えながら歩き小声で空の方向に向かって呟いた。「はぁ~なんか普通だなぁ。ギャルゲーとかラブコメみたいな事起きないかなぁ~。」と。そしたら後ろから俺のその呟きに対して返事をする様に「ホントそうよね~。共感するわ。なんでギャルゲーやラブコメみたいな展開が現実にないのよ!信じられないんだからねっ!」と声が聞こえた。俺は後ろを振り向いた瞬間、思考が一時的に停止した。思考停止が終わって「あ・・・あなたは!?」と俺は声が出た。そう、後ろから俺の呟きに対して返事をした様な声を挙げた子はギャルゲーやラブコメの世界から来た様な縦ロールタイプのツインテールの美少女だった。俺はその子を見てまずこう心の中で思った。「あぁ・・・やべぇ。これは現実なのか?最後のツンデレのお約束的な奴だよな・・・めっちゃ萌えたのだが。」。 さぁ~僕は正気を保てるであろうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る