第7話 モフモフの魅力を語りました
祈りの時間以外は自由にしていいと言われているので、紫音は長年の夢を叶えることにした。
それは、日本の住宅事情では叶えられなかった切なる願い……。
「庭で犬を飼いたい!」
ということ。幸い、広すぎる庭を持つ魔王城はその点を楽々とクリアしている。
「うん、飼うのはいいけど……その、イヌっていうのは何かな? 魔導師長知ってる?」
「はて? 私も聞いたことがないですね。異世界のペットですか?」
「嘘やん……も、もしかしてここにはおらへんとか、そうゆうオチかいな!?」
「まあまあ、落ち着いてください」
「う~ん……そうだ! ちょっとそれの特徴とか、教えてくれないかな?」
「わ、分かったっ」
犬とはかくかくしかじかで、めっちゃモフモフしてて可愛らしい生き物なんだと二人に力説したところ、納得したように魔導師長が言った。
「成る程、つまりフェンリルの仔の小型版ってとこですか」
「フ、フェンリルやて? そんな幻獣がホンマにおるんかいな。何それめっちゃ見てみたいねんけど!!」
想像上の幻獣が普通に存在しているという状況に、さすが異世界、現実がファンタジーしていると興奮しきりの紫音である。
「うん、いいよぉ。でもここには今いないから後でね! そっかぁ、シオンもモフモフ好きなんだっ、気が合うね!」
「ちゅうことは魔王さんもかいな」
「シ・オ・ン。違うでしょ。魔王さんじゃなくて名前で呼んで? #アル__・__#って」
迫力のある笑顔を張り付けた魔王陛下が、麗しいご尊顔をグイグイと近づけながら不満そうに囁く。
「ぬおぉぉっ、近い近い近い! 耳元で喋らんといてんかっ」
「あはははっ、ごめんごめん」
「全くもう、私の目の前でイチャイチャするなら相談に乗りませんよ」
「誰がイチャついとんねんっ」
「そうだよねっ。真面目に大切な事を話していただけだよね!」
「ハイハイ、そうゆうのいいですから。陛下、例のアレなら条件を満たしているかと思われますが……。貰い手を探されていましたし、シオンにちょうどいいのでは?」
「……っ! それだっ。ちょっと宰相のところに行ってくる!」
こうして、同じモフモフ好きの家主(?)のおかげで、彼女の願いはすぐに叶えらる事になった。
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