第2話 魔王様に会いました
混乱の渦の中にいる彼女を余所に、マイペースに会話を続けている美形二人に思わず突っ込んでしまった。
若干、放置気味な事にじんわりと涙目になってしまったのは仕方ないだろう。
それでもこっちに注目してもらうため、頑張って声を張ってみた甲斐あって存在に気づいてもらえたようで、二人の視線が再度、こっちに向いた。
「これはこれは……失礼いたしました」
「それとな、なんや勘違いされとるようやから言うとくけどウチは幼女やない。ピッチピチの女子中学生やで!?」
「え? そのジョシチュウガクセイ……とはなんだ?」
「さあ? 何かの職業でしょうか?」
「……通じへんてどんだけや」
「ではレディ、何歳かお伺いしても?」
「そんなん、見た目通りの十四才に決まってるやん」
「……え?」
「え?」
「……これで後一年で成人、ということですか」
「信じられないけどそうみたいだね」
「いやはや、こんなにどこもかしこもちんまりと……いや、おほん。術式は問題なさそうですし、この小ささは異世界仕様とかそういう……あ、いや失礼」
「……あんた全然失礼やて思てはらへんやろ」
「おやおや、これは。どなたかと同じことをおっしゃいますね」
「今のあんたの受け答え見てたら、みぃんな同じこと言うと思うで?」
「うんうん、そうだよねっ。よく分かっているじゃないか、お嬢さん」
「……陛下」
「はははっ、本当のことだろ? いやぁ、この子いいよっ」
「……早速、お気に召されましたか」
「まあね、その為の召喚だし。とにかく俺は気に入ったよ」
「それは、ようございました。では、今回の召喚は成功した……ということですね?」
「ああ、完璧だよ。ご苦労だったね、魔導師長」
「恐れ入ります、魔王陛下」
――ねぎらいの言葉をかけられた魔導師長は誇らしげに微笑みながら、己が主に向かって恭しく頭を下げたのだった。
「ではご希望通り、順を追って説明しましょうか。まず、ここはあなたのいた世界とは別の世界になります」
「へ?」
にっこりと微笑みながら、とんでもないことを言われた気がする。どうやら知らぬ間に世界を越えていたみたいだ。
銀色の髪の美青年様曰く、ここは魔大陸にある魔王城で、彼らはなんと魔王陛下と魔導師長様だという。
その魔導師長様が話してくれたのは、魔族が今、危機的状況に置かれているという事。
この世界には、大きく分けて魔族の暮らす魔大陸と魔族以外の種族が暮らす大陸の二つがある。
その間には、常時荒れ狂っている上に凶暴な海の魔物たちがわんさかいる海峡が横たわっている為、今までは事実上、交流は不可能で平穏だった。
まあ、魔族には翼を持つ種族がワイバーンやらドラゴンやら筆頭に色々いるので、関係なかったらしいが……。
ところがどうやってか、人間達はこの短期間の内に造船技術を発達させ、更には海の魔物達を退ける術を手に入れたという。
不審に思って調べてみたところ、人間側は聖属性の魔力を持つ者、聖女を密かに召喚していた……。
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