第11話
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光は段々と収まっていき、周囲が認識できるようになった。顔を上げて見回すと、蓮が先ほどまでいた鴨川沿いだった。時間は幻想のような光景に切り替わる直前のようで、クウガが腰の横に短刀を持っていた。その向こうではアキナが、ぎゅっと目を瞑っていた。
死を受け入れたという発言はやせ我慢に過ぎなかったようで、戦慄く唇や震える握り拳など、全身の至るところに恐怖が見て取れる。今のアキナの姿には武人の風格は皆無で、ただのいたいけな少女にしか見えなかった。
(アキナはあんな目に遭っていい子じゃない。救う。俺がアキナを救う)
静謐な心持で唱えつつ、蓮は先ほどの龍を思い浮かべた。すると蓮の全身に、温かい何かが一瞬にして満ち満ちた。
何かに導かれるように、蓮は牛舌掌にした右手を持ち上げた。
すると、指先から白色の光が発生。瞬く間に日本刀ほどの長さになった。
気がついたのか、クウガはゆっくりと振り返った。蓮の全身を眺める目は、驚きで大きく見開かれている。
「蓮くん。どうしたのその姿。まるで龍──」
同じく顔全体で驚愕するアキナが、恐れ入ったかのような調子で呟いた。蓮はすぐさま自分の身体に目を向ける。
肩から先と膝下は、艶やかな白色の鱗で覆われていた。アキナの
胴体および腰から膝までは、純白一色の継ぎ目のない鎧を身につけていた。しかし軽く身体を動かすと、鎧は自在に変形して妨げにはならなかった。
次に蓮は、視認できない頭部に右手をやった。波打つ形状の兜を被っているらしく、額の真上から右側に手を移動させていくと滑らかな感触が返ってきた。なおも続けていると、木の枝のような形状の物に当たった。
(角が兜を突き破ってるのか。そういや頭に何か生えてるような感覚はあるな。四肢に帯びるだけに留まらず、俺自身が龍になったわけだ。まあいいや。これでクウガと戦える。これでくだらない現実を覆せる!)
傷は完全に癒えており、自分でもよくわからないが気分は爽快だった。クウガが相手でも負ける気は全くしなかった。
やがてクウガが蓮に向き直った。油断なく蓮を注視して、すうっと拳闘の構えを取った。
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