『小さなお話し』 その14
やましん(テンパー)
『にゃん革連合』
ついに、『にゃん革連合』の、総会が開かれたのである。
会場は、いわずとしれた、やましんさんちの庭である。
『諸君。我が、にゃんシュタイン博士が、革命的な発明をした。これにより、我らは、人類の束縛から解放されるであろう!』
司会のニャンターリン司令官が言った。
『おわ~~~~~~~!!!』
『では、博士、どうぞ。』
『ああ、みなさん、この爆弾は、『ニャン核弾頭』で、ありまする。こいつを爆発させると、遺伝子変革の連鎖反応が起こり、すべて人類は、にゃん族に同化されるのであります。この世から、おろかな人類は消え去るのです!』
『おお~~~~~~。すぐやろう!』
気の早い連中が叫んだ。
『まてまて。』
にゃんジー師範が、おもむろに、口を挟んだ。
『人類とて、我らと同じ哺乳類である。そのような暴挙は、許されないはずですが。』
『出てけ~~~~~! 裏切者~~~~! 非にゃん革民だあ~~~~!!』
『そうだ、そうだ~~~~!』
『まままままま。諸君、落ち着きたまえ!』
ニャントーヴェン氏が立ち上がった。
革新派の作曲にゃんである。
『君たち、人類がみな、にゃんになったら、誰が食料をくれるのかね?』
『う~~~~~ん。』
考え込むにゃんもいたのだが・・・
『んなにお~~~!! ニャントーヴェン恐れるに足らず。食料など、どこにでもあるわ。この集まりに加われないにゃんは、涙を流しながら、去って行くがよいのだ!! 神は死んだのだ。人類もまた、滅びよ!』
ニャーンツェ教授が叫んだ。
にゃん過激派の、代表者的な学者さんである。
同僚の、ニャンクス博士が続けた。
『我が哲学的歴史学的経済学においても、人類の弊害は巨大である。即刻削除すべく活動しよう。』
『おわ~~~~~~!!! やろう、やろう!!実行あるのみ~~~革命だあ~~~~~。』
『では、即座に実施ということで、よろしいか。』
司会のニャンターリン氏が言った。
会場は、沸き立ったのだ。
『わたしは、去る。くだらん。』
ニャントーヴェン氏は、堂々と、退場した。
支持者の、ニャンベルトさんも、ブラニャン氏も、一緒に出て行った。
『ふん。意気地なしは去るが良い。』
ニャーンツェ教授が言ったが、少し、涙が光っていたのである。
彼は、ニャントーヴェン氏の音楽のファンだったのだ。
『ふん。この機は、上手くとらえなければな。良いチャンスだ。』
まだ、下っ端だった、ニャントラー軍曹はつぶやいていた。
『では、さっそく、点火する!』
ニャンシュタイン博士の弟子が、爆弾を、軽々と飛び上がって、やましんちの、二階の屋根に持ち上げた。
『ああ、では、マッチないか?』
『マッチ!ないか!』
ニャンターリンが呼ばわった。
『マッチ、ないです。』
部下が言った。
『あれは、人類しか使わない。北の森のくまさんも、火自体は恐れないが、自分では使わないです。まして、ニャン族は。』
『やましんさんに、点火してもらおう!』
『お~~~~~! 人類の異端児、やましんさんに頼もう! にゃ~~~~~~!』
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『ぎゃにゃ~~~~~~! ぎゃにゃ~~~~~~~!』
にゃんこが、やましんの足元に、すり寄って来る。
『かわいいけどなあ・・・よしよしと・・・あらら、なんか、庭先が、やたら、うるさいなあ。なんだよ、いまどき。うあ~~~~、庭中が、猫ちゃんだらけじゃん。なんで、こんなに、集まったのかな。あ・・・・・お魚干したままだあ。こら~~~~~。やましんのごはん取るなあ~~~~~! 食い物の恨みは深いぞ~~~!』
やましんは、庭先会場から、多数のにゃんを、追い払ったのである。
これが、やましんの正体だったのだ!
にゃんたちは、哀れなやましんを捨て、他の場所を探しに行った。
しかし、二階の屋根の上の爆弾は、ころころと転がって、にゃんの手が届かない、樋の中に転がり込んだ。
まだ、そこにあります。
やがて、やましんがいなくなり、お家が解体される時が、勝負である。
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『小さなお話し』 その14 やましん(テンパー) @yamashin-2
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