花火

あなたと一緒にすごす初めての夏も、

忙しさに追われて流れるように過ぎ去ろうとしている


祭りにも行けなかった

泳ぎにもいけなかった

せめて、花火でもしようか、って、笑うあなたと、童心にかえりたい


花火

昔はね、よくやったんだ

浜辺とか、この辺でも、庭とか道路とか公園とかで

父が監視、私と兄弟で


線香花火はね、

真ん中はあぶないけど、火花さわっても熱くないんだよって、指出して

けむりのにおい


最後にやったの、いつだったのかな

兄弟がこの町を出て行く前だから、かなり昔かな

花火かあ、あなたと

子供のあそびなのに、ワクワクするなあ


もう私たちいい大人達だけど、子供に戻ったっていいよね

たぶん父は夕飯たべてすぐ寝ちゃうけど、

監視されなくても、危ない遊び方は、しないよ

ちょっとさみしいかな?父もやる?起きていられる?


虫の声が聞こえる季節に

夏の終わりに

はしゃぐことはないかもしれないけど、しみじみと、何を語る?

いつか、浜辺で、もっとおおきいのやろう

まだ父が、難なく歩けるうちに

あと一度だけ、行きたい海があるんだ


兄弟もその時は来てくれるかな

あなたも含めて、みんなで


どうか小さいこの願い

火花のように 消えてしまいませんように

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