上を見ても下を見ても似たようなものしか見えないの。


螺旋階段。


終わりなんて見たこともないし、

始まりなんて覚えてもいない。


どれだけ高い塔なのか。

私の手を引く手がある。

一度全てを諦めた私の手を。


髪を、

編んで、編んで、いっぱい編んで

窓から垂らしたら脱出できるかな。

そんな無謀な提案を、貴方は切り刻むこともなくまるごと抱きしめた。

私の代わりに切ったその髪を、風に乗せて遠くへ、遠くへ。

雲が呑み込む、さらっていく。

再びひかれる手。


一段上がる、また一段。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る