野口優はきっと、甲子園を目指す

青獅子

第1話

あたしの名前は野口優のぐちゆう。最近、高校生になったばかりの15歳。憧れの制服も少しずつ体に馴染んでいる。三階の教室から見える景色も見慣れたものになった。まだ入学してから二週間だけど。




「えっ!?マネージャーって人数制限あるの!?」


「優、知らなかったの?」




知らない、知らない!今話しているのは、クラスメイトである渡辺夏帆わたなべかほちゃん。ソフトボール部で、ショートカットで、背が高くて、さばさばしてるけどめっちゃ美人。合格点ギリギリのあたしと違って、頭もいい。




「野球のルールとかだよね?」


「うん。でも面接があるんだって。優には可哀想だけど、無理だよ♪」




あの、満面の笑みで残酷なことを言わないでください。あたしはドジだ。よく転ぶし、頭によく物が当たる。ひっくり返したらいけない物をひっくり返すことも多い。お弁当とかコップとか。そして、特に嫌な思い出はバケツ。服がびしょびしょになって……う゛〜、思い出したくない!




「諦めて帰宅部にしようよ。それかチアリーディング部」


「嫌だ!私、人にチヤホヤされるの苦手だし」


「マネージャーだってチヤホヤされるよ?野球部なら尚更」


「え?それは……」


「それに夏は暑苦しいんだから」


「夏帆、ひどい!」


「ごめんって。言い過ぎた。あ、チャイム」




夏帆のいう通り午後の授業を始まりを知らせる音が鳴り出した。授業はついつい上の空になる。せっかく、鎌大附属に入れたのに…


神奈川県どころか、全国屈指の名門、鎌倉かまくら大学附属高校野球部。過去幾度となく甲子園に出場し、全国制覇の経験もある。


プロ野球選手だった父親の影響か、小さい頃からずっとテレビはいつも野球中継。特に春休みや夏休みは、朝から晩までずっと、甲子園の選手のプレーを見ていたっけ……


小学生になって、野球したくて。でも、近くの少年野球チームは男の子ばっかりで入れなかった。今、中学のシニアチームでプレーしてる弟が羨ましい。誰か女の子がいれば、入れたと思う。多分、これは言い訳かも……




中学生になって女子ソフトボール部に入部。でも自分が通ってた中学のソフト部は名門校だったし、人数が多いし、あたし自身のドジさも手伝ってずっと補欠。ベンチで声出し頑張ってた。ずっと、ずっと。居場所が無くて、肩身が狭くて……


鎌大の入試はそれなりにレベルが高かったけど、なんとか合格した。学校までは片道1時間半かかるし、朝6時に起きなければいけないのは辛いけど……




で、マネージャー試験!?あたしは野球の試合を観たいだけなのに……




確かに全校応援だってあるけど、+αで県予選(初戦から全部。ついでに春と秋の県大会も)の試合だって見逃せない。マネージャーになったら堂々と観戦・応援ができるのに!


名門校だけあって、県内外から寄せ集められた精鋭たちが集まる鎌大野球部。そのせい?か、かっこいい人が多い。だから女子がチアやらマネに群がるらしい。


これは知らなかったけど。ルールは分かる。野球のルールは大体パワプロから学んだ。タッチアップの説明だって、エンドランの説明だってできる。でも、スコアは付けられない。わけわかんないんだもんね!




「んじゃあ、野口のぐち。次」




当てられた。あ、大丈夫。なんとか……ね。




◇ ◇ ◇




野口優のぐちゆう

誕生日・・・9月25日

年齢・・・15歳(高校1年)

出身地・・・東京都

血液型・・・O型

身長・・・155cm

体重・・・45kg


渡辺夏帆わたなべかほ

誕生日・・・7月17日

年齢・・・15歳(高校1年)

出身地・・・神奈川県

血液型・・・B型

身長・・・165cm

体重・・・55kg


榎本萌絵えのもともえ

誕生日・・・5月20日

年齢・・・15歳(高校1年)

出身地・・・神奈川県

血液型・・・A型

身長・・・160cm

体重・・・50kg

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る