第6話 別れは突然に——

「ルナさん、3時に4階病棟へ移動になります」突然のお別れ——。


 おばぁちゃんが老人ホームへ移るより先に、私が4階病棟へ行くことになった。


 そばで聞いていたおばぁちゃんは、私の手を握り涙ぐんだ。


 しかし気を取り直して「私は頑張るから、あんたも頑張ってよ」と言ってくれた。


「意地悪する看護師がいるから、辞めようかなぁ」と、おばぁちゃんに話していた、19歳の看護助手さんがいた。


「Aちゃん、辞めないよ」と、優しく諭していたおばぁちゃん。


 これからおばぁちゃんは、その看護助手さんにお風呂に入れてもらうという。


 私はふたりを、お風呂場まで見送った。


「おばぁちゃんが『ありがとう』って言ってくれるから頑張れる。おばぁちゃんがいるうちは、辞めないからね」と、看護助手さんは言った。


(おばぁちゃん、ありがとう。元気でいてね……)私は涙がこぼれそうになった。

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