(14)
「それを知ってるなら、なんで僕が電話をかけたか理由は分かるよね?」
「まあね」
と、セリカは冷笑を浮かべる。
「あのさ、本当は時間さえあれが清家さんにどうしても聞きたいことがあったんだ」
僕は、そんなセリカをにらみつけた。
「魔女ヒルダ、というか保健の日向先生がなぜ僕たちに襲いかかってきたのかとか、リューゴ――つまり佐々木龍吾がどうしてこっちの世界でもリナの恋人になっているかとかね」
「あらら。ユウト君、あなたやっぱり現実世界と異世界のことをごちゃ混ぜにしていない? 今までさんざん言ったように、二つの世界はまったく別の次元にあるんだよ」
「それはどうなんだろうね?」
と、僕はわざと意味ありげに言った。
「でも、今はそのことを追及している暇はないんだ。だからさ、ただ一つの質問に答えて欲しい。――リナは今、無事でいる?」
「へー」
僕の問いに、セリカは白けた顔をする。
「やっぱりそんなに心配してるんだ、
「あ、当たり前じゃないか!」
「あのさユウト君、それって本心から言っている?」
セリカはすべてを見透かすような目で、僕を見た。
「実は、本音はまったく違うんじゃない?」
「え?」
「だって、今はもう異世界のリナさんにもリューゴ君という立派な恋人がいるって分かってるんだよ? しかも目の前であんなにいちゃつかれてコケにされて……。
いい? ぶっちゃけて言えば、ユウト君は現実世界と同じように幼馴染を
「それは……」
セリカは相変わらず、人の心臓を刃物でえぐるようなことをズバズバ言ってくる。
「だいたいあのシャノンとかいう女剣士が現れた時、ユウト君ずいぶんあっさり薬で眠らせられちゃったよね。本当は魔法を使うとか、もうちょっと抵抗する手立てがあったんじゃないの?」
「…………」
「それをしなかったってことは、つまり、あなたは心のどこかでリューゴ君に抱かれたリナさんなんてどうなってもいい、勝手にさらわれていろ! って思っちゃってたんだよ」
「そ、そんなことはない!」
「そんなことあるよ!」
と、セリカは断定的に言った。
「今、あなたがリナさんを助けに行こうとしているのも結局見栄による行動! もしもリナさんがこのまま戻ってこなかったら格好がつかないし、アリス王女にも顔向けできないでしょうしね!」
何か言い返そうとしたがそれ以上言葉が出ず、僕はセリカをにらみながら、血のにじむくらい唇を噛んだ。
清家セリカ――
この美しい顔をした僕のクラスメイトは、人の心どんなに傷つけても平気だというのか?
でも……。
でも……。
彼女が言うことは、少なからず当たっている部分もあるのだ。
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