(24)
「まー、なによミュゼット。急に色気付いちゃって!」
と、男爵が呆れたように言った。
「ついでに言わせてもらえば、さっき足を挫いたふりして倒れた時の格好もなんなのよ! 妙にエロくてあられもなくってさ、てっきりハイオークを誘惑しているのかと勘違いしちゃったじゃない!」
「あーあれ? あれはね、性欲と食欲は紙一重って言うじゃん。だからちょっと色気出して誘ってみたらハイオークが余計にボクを食べたくなるかと思って。……まあ少々演出過剰だったかもしれないけどさ。お気に入りの服まで破られちゃうし」
「そうよ、紛らわしい! この子ったらホントに危なっかしいだから! さっきだってユウちゃんが助けなかったら、結局ハイオークのパンチでぺちゃんこだったじゃない」
男爵は割と本気で怒っている。
やっぱりミュゼットのことを心から心配しているのだ。
「……そうですよね。いくら計算ずくで戦っていたにしても、やっぱり不測の事態と言うのは起こるものなんですよね」
と、リナが男爵に同調する。
「あと一つ疑問なんですが、さっきのミュゼットさんのすごい魔法――『
「言われてみれば!」
と、男爵もうなずく。
「ミュゼット! あの見てるだけでオシッコちびりそうな魔法、なんで最初に使わなかったのよ!」
「お二人とも、ちょっと待ってください! その点でミュゼットさんを責るのは酷と言うものです」
その質問が出ることをあらかじめ予想していた僕は、ミュゼットの代わりに答えた。
「あの『
戦闘が始まる前にミュゼットが炎の壁で結界を張ったのも、おそらく僕たちを危険に晒すことなく一人で戦い抜くため。
見かけは人を舐めたようなところがあるミュゼットだが、実は騎士として、また
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