(13)
「アタクシ、
「まったくどうでもいいことを……」
マティアスが腹立たしげに舌打ちをする。
「いいだろう、答えてやる。グリモ・フェルディナンド・バティスタ・シャルル・オーギュスト・ジュゼ・ウィルフォール=ベリール=イルⅡ世だ!」
「正解!! うれしい! 覚えていてくれたのね! アタシの名前を正確に記憶してくれていたのは今まであなたとアリス王女の二人のみよ!」
「……それは良かったな」
「ヤダ、なによ、そのふてくされた態度! マティアスあなた、アタシとの過去を掘り返されるのがそんなに嫌なの? まるで古傷にでも触れられたみたいな感じ」
「そ、それは……」
マティアスはぐぬぬ、と顔をしかめた。
「若さゆえの
「ま! あの若き青春の日々を、二人で愛を語り合ったあの日々を“
と、男爵は腰に手を当てプンプンしている。
「いいわ、じゃあ次はちょっと意地悪な質問をしてあげる。はい、第二問! ――アタシとあなたがアツーい夜を過ごした回数は? 全部で何回?」
熱い夜!!
回数!!
とんでもなくしょうもない質問をされ、マティアスは「うおっ」と叫び、また頭を抱えた。
「さあ、答えなさい! でないとお城には入れないわよ!」
「止めろ! グリモ、許してくれ! 今の俺は妻も子もいる身だ!」
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