(14)
しかし魔法を唱えるって……。
いざやってみようとすると、なんだか気恥ずかしい。
「さあ、早く」
と、セリカがせかす。
「深く考えないで。シスターマリアを見ながら、心に強く念じ呪文名を口に出せばいいの」
「……わかった。やってみる」
僕はぐったりしたマリアをじっと見つめ、神経を集中させた。
『スキャン!』
ほんの一瞬マリアの体が光った。
それと連動するように、スマホの画面に文字がずらりと表示される。
ネーム:マリア=シャレット
クラス:シスター
H P:75/100
M P:8/550
力 :20
知 力:350
速 さ:88
守 備:40
運 :223
黒魔法:0
白魔法:1025
スキル:回復+
状 態:激しい疲労
弱 点:昆虫
できた!
本当にできた!
ステータスの表示は僕の遊んでいた
各能力の基準値は100で、経験を積んでレベルが上がるたびに数値も上昇していく。
「ね、やればできるじゃない」
セリカはそらみなさい、と言わんばかりだ。
「あのさ……これ、スマホの機能じゃないの?」
「そんなわけないでしょ。すべてあなたの力。スマホの画面にただそれが写っているだけ」
「すごい!」
「さて、なぜシスターマリアをスキャンしたかといえば……ねえ、ゲームの中で有川君のキャラ、白魔法の能力値はいくつだった?」
「20000ちょい」
昼夜問わない、廃人プレイで得た力。
十万人を超えるというプレイヤーの中でも、上位一桁に入る数値だ。
「つまりあなたは白魔法の力、あのシスターのだいたい20倍の力ということ。ね、少しは自信付いた?」
自分にそんな能力が本当に備わっているのだろうか?
僕はどうしても信じられなかった。
「まだダメ? じゃ、試しに自分自身を『スキャン』してみなさい」
「わかった」
僕は自分自身に向かって『スキャン』を唱えた。
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