(3)

 完全に厨二病。

 アニメの見すぎかマンガ、ライトノベルの読みすぎ。


 と、普通ならそう思って飽きれるだろう。


 でも、セリカは至って真剣だ。

 ここまで自信ありげだと、なんだか彼女の話が本当のことのような気もしてくる。


「論より証拠、私があなたにピッタリの、あなたが力を発揮できる世界にいざなってあげる。

 ――さあ、どんな世界に行ってみたい? 宇宙を自由に駆け巡るSFの世界? それとも剣と魔法の冒険ファンタジーの世界?」


「どっちもちょっと……」


「うーん。少し古臭かったかな? じゃ、いっそのこと、アニメやマンガにあるような美少女に囲まれるハーレムな異世界は?」


「いや、それも遠慮しとくよ」

 なんだかバカにされてる気がして、僕はぶっきらぼうに言った。


「えー」

 セリカは少しイラについてる。

「じゃあ具体的にどんなところがいいの?」


「……あえて言うなら、自分にもっと能力があって、理奈が恋人の世界」


 それが今の正直な気持ちだ。

 しかし――


「それはダメ。無理」


 セリカは冷たく言い放った。


「え、なんで?」 


「それだと今の世界とあまりに近すぎて、平行世界パラレルワールドがお互いの干渉しあってしまう可能性が出てくる。もしそんなことになったらたいへん、時空が歪んでなにもかもめちゃくちゃになってしまうわ。

 そうね――もし本気で異世界に行く気なら、今の世界とまったく違う現実ではありえない世界の方がいい」


 ……いかにも、もっともらしいことを言う。

 でも、それなら仕方ない。


 僕はしばらく考え、ある思いつきを口にした。


「じゃあ……ネットゲームの世界がいい」


「ネットゲーム?」


「そう、僕がはまってるオンラインRPG――『アナザーデスティニー』というゲーム」


「あ、それなら私も知ってる。CMやってるし」

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