第19話 逃げるメイド

 日本では夢のような話だが、フィリピンでは簡単にメイドを雇うことができる。「簡単に」と言うのは金額的にと言う事だ。


 通いのメイドだと日給200ペソから300ペソも出せば希望者は沢山いる。300ペソ出しても日本円で約700円弱だ。

 住み込みのメイドの場合は月給で2500ペソから高くても5000ペソだ。

 どちらも給料は月に2回に分けて支払うケースが多い。

 1度に渡すと直ぐに全部遣ってしまうからだが、いきなり来なくなるのを防ぐ為でもある。


 気を付けなくてはならないのが、買い物や光熱費の支払いをメイドに頼んだ時だ。特に給料日の後で、1000ペソ以上の金を預けると、そのまま帰って来ない事がある。メイドの部屋を確認すると荷物が無い。逃亡だ。


 メイドが知り合いならいざ知らず、知り合いの知り合いの、その又知り合いなんていうと、そういう事も起きやすい。


 更に笑ってしまうのは、逃げたメイドが1ヶ月もすると連絡して来る。

「もう一度働きたい」

 正式に退職したわけでなく、逃亡者が復職願いをして来る訳だ。

 帰ってきた逃亡者が口にするのは

「お腹が空いた」

 自分の故郷に帰っても、1週間もすると金が失くなってしまう。


 メイドをやっている間は、働いている家の主人にもよるが、取り敢えず、お腹一杯にゴハンは食べられる。


 掃除・洗濯・ゴハン炊き。


 自分でやるのが面倒な人はメイドを雇いましょう。いろいろな騒動を起こしてくれて、きっと楽しいと思います。


 

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