わんぱくキリの秘密
柴犬キリは、実を言うと売れ残りです。
普通のワンちゃんの場合、ブリーダーの手を離れて店に来て、生後2ヶ月、3ヶ月で新しい飼い主さんの手に渡って、連れて帰られるものだと思うのですが、キリの場合、もう5ヶ月になるところでした。
とてもかわいい顔をしていて、優しそうな目をしたワンちゃんなのに、店でただ1匹の売れ残りだったのです。
キリの入れられたカゴには、こんなことが書かれていました。
「噛むことがあるので気を付けてください」
キリはすごく元気がよく、自分を見てくれるお客様みんなにとびつこうとするのですが、この文句が書かれている上に、元気いっぱいで飛びつこうとされたら、大抵のお客様は敬遠されたのでしょう。
妻は、ひと目見てキリが気になるようになってしまったのですが、それはかわいい顔をしているだけでなく、なんだかかわいそうで仕方がなかったそうです。
試しに抱かせてもらうと、素直に抱かれて喜ぶわけでもなく、甘噛みといって、本気ではなく、力加減はしているのですが、盛んに妻の手を甘噛みするのです。
それでも何がそんなに気に入ったのか、妻はとうとう、その柴犬を今年のお正月に連れて帰り、キリと名付けて可愛がりました。
まあ、でも最初の頃の困ったこと。
とにかくよく噛むのです。あくまで甘噛みなのですが、調べたところによると、何か不安や恐怖を心に抱いていたのかもしれません。
たとえ甘噛みといっても、もう5ヶ月の柴犬がそれをやると、結構痛いのです。そしてイタズラも色々とやらかします。
まあ、ホントにそれから色んなことがあったのですけど、かわいいところもたくさんあって、最近は少しずつですけど甘噛みの癖もとれてきて、まだまだとはいえ、かなり普通の、わんぱく犬のレベルになってきました。
妻や私が外から帰ってきた時の喜びようなどは、かわいくて仕方ありません。
妻はいつも疲れています。
更年期のせいとか、そういうのもあるのかないのか、家事に加えてリモートワークがあり、キリの散歩は1日2回から3回です。よく水を飲むのでキリはオシッコが近いんですね。最近は少しずつですが、クゥンクゥンと言ってオシッコを知らせたりもできるようになってきました。
ここ1週間くらい、私の母の入院で私も家事やキリの世話を手伝ってあげることができたので、妻も助かったのではないかと思います。
柴犬キリもすっかりうちに馴染んで、少しずつ安心感も強くなってきていると思いますが、まだまだこれからが大切だと思います。
わんぱくキリの秘密はここでおしまいです。
私も含め、お互い信頼関係をしっかり築いて、いい愛犬に育ってほしいと思っています。
そしてキリならきっとそれができると信じているのです。
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