家族旅行
この8月、親子3人で旅行に行こうということになった。
行き先は妻の趣味を優先して、飛騨高山に決まった。
私は少しも嬉しくない。
まず、親子3人というのは、私にはキツイのだ。
妻も子も分からないだろうが、私は我がままだから1人で行きたい。旅してまで、いつものように妻や子に気を使いたくない。
私はそういう哀れな父親なのだ。
行き先も気に入らない。
妻も私も飛騨高山には行ったことがあるし、あの日本的な狭っ苦しい街はストレスだ。
しかし私の我がままは聞き入れられない。
まあいいだろう。このままコロナの患者が増え続けたら、8月にそんな悠長なことが言っていられるのかいささか疑問だし。
今はそういう意味で毎日が面白くない。
そもそも私は相当我がままである。
結婚して間もなく、自分は1人の時間が必要な人間なので、そこのところを理解して欲しいと妻に言い、妻を悲しませた。
今でこそ、こんな事を言うとバチが当たるが、縛られるのが嫌だから、子どもは欲しくないと妻に随分駄々をこねた。
しかし生まれてみると子供というのはかわいいもので、また、子供が欲しくて授からないご夫婦に対し、申し訳ない事この上ない。
しかし大きくなってから、2、3度、子どもは、生まれて来たくなかった、とか、親のエゴのせいで、こんな世界に生まれてくることになってしまった、というような事を言ったことがある。
余程、本来ならお前は生まれなかったかもしれない子供なんだ、と言ってやりたかったが、それは出来なかった。
子育てという最高の幸せを授かっておいて、それは言えなかった。
そして子供には一生そんなことは言わないつもりだ。
ところで旅行である。
コロナがこんな状況で行けるのか?
でももし行けたら、やはり感謝の気持ちを持って、満足しなければならないと思う。親子3人で旅行できる幸せを、心からありがたく思うのが当然だ。
こうして書いているとやはりそう思う。
こうして文章を書くことを通じて、私も、ようやく少し人間らしいものになってきたのかもしれない。
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