　昔から、たまに夢の中に懐かしい女の子が出てくることがあった。

　たとえば、小学校5、6年生の時同じクラスだったＴさん。もうどんな夢だったか覚えてないし、例によって何の脈絡もないものだったが、そうした時は目が覚めた時、しばらく懐かしさでいっぱいになる。

　次によく夢で見た女の子は、20代の頃、職場が同じだったＹさんだ。

　Ｙさんは顔立ちの整った綺麗な女の子だったが、特に私は好意を寄せていたわけでもなければ、他の女の子に比べて付き合いが深かったというわけでもない。

　なのに夢によく出てきて、懐かしさで私を困らせた。この感情は一体何なのだろうと思ったものだ。

　他にも、夢に出てきた女の子は何人もいる。付き合っていたことのある女の子が出てくることもあれば、特に親しかったわけでもない子が出てくることもある。

　私はある時からこう思うようになった。

　皆、誰もが、私のようにこうした夢を見るのだろうか？　もし見るなら、私は逆に誰かの夢に登場することがあるのだろうか。

　昔、私が好きだった女の子は、一度でも私の夢を見て、懐かしい気持ちに浸ってくれたことがあるだろうか、と。

　夢は本当に不思議なものだ。

　一時期ある女の子の夢を何度も見たと思ったら、突然全く見なくなったりする。

　夢の中でなくとも、ある女の子を懐かしく思い出したと思ったら、暫くすると、それは別の女の子に変わってしまったりする。

　しかし、ここ数年は女の子の夢を見ていないような気がする。

　昔付き合った子や、好きだった子を懐かしく思い出すこともなくなった。

　歳のせいだろうか。

　寂しい限りである。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい