世界の片隅で細々と
私は人と接するのが苦手である。特に複数はいけない。複数の人と一緒にいると、絶対に飲み物、食べ物が喉を通らない。
こんな私だから、若い時の最大の憂鬱は結婚披露宴であった。人の結婚披露宴に出席するのは勿論だが、自分が披露宴をやるとなったら、ストレスのあまり死んでしまうかもしれない。それくらい、恐怖であった。
幸い、妻は結婚式も披露宴もやらないでいいと許してくれた(妻は外国人なので、実際ちょっと海外から親族、友人、知人を招くのは無理だったという理由もあったのだが)。
妻とは記念の写真を撮っただけで終わった。
しかし私のこの性格は、若い時から未だに変わらない。だから時々家に遊びに来るよく知った妻の友人だけが私の知り合いで、交友関係も親戚づきあいもなく、世間の片隅で細々と生きてきた。
自分が結婚し、大学生の息子がいるだけでも私には奇跡である。妻や子がいると、色んな付き合いが出てくるが、何とかそれをこなしてきたのは驚きだ。
やはり人間、愛する者、特に子供のためなら強くなれるらしい。
で、いよいよこの歳になって、友の1人もなく、文章を書くことだけを支えに生きている。別に寂しくはない。
これからもひっそりと片隅で生きていきたいと思っている。妻は適度に交友関係もあるが、私は妻だけに時々相手になってもらって、それでいい。
ひとりぼっちの人生。
色んな人生があるのだから、それもいいのじゃないかと私は思うのだ。
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