5 例え待っているのが地獄でしかないとしても
分かっている。ここから先に録な未来は待っていない。
半月前。ルミアに半殺しにされたあの日。あの日のシオン・クロウリーのままルミアに挑んでも100%何もなし得ず殺される。
それではただの犬死にだ。
だから逸る気持ちを抑えて、ほんの少しだけ突入のタイミングを遅らせた。
ほんの少しだけでいい。作戦成功率を0から1にするために。
そのほんの少しの時間でどれだけ自信が助けたい精霊に辛い思いをさせるかは分かっていたけれど、それでも確かに助け出せる可能性は作った。希薄でも、確かに可能性はこの手の中にある。
だがその1%の壁を破って奪還に成功したとしても、それは規模は違えどかつて瀬戸栄治がやった事と変わらない。
例え生き残っても、今度こそシオン・クロウリーという人間は社会的に死ぬ事になるだろう。
だからこそ、どう転がったって録な未来は待っていない。
……それでも。シオン・クロウリーがどうなってでも。
「待ってろ。今行く」
あの精霊だけは。
名前も知らないし大切な存在だけは、自分の全てをかけてでも絶対に救い上げてみせる。
その決意を胸に彼はルミアの研究所へ突入する。
本当は心のどこかで幸せを望みながら。
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