第216話 2020/05/27/水 共依存?

 昼間にソファでうとうとしていたら、スコちゃんがひょっこり現れて、鼻にキスしていく……という夢を見た。

 私が思わずだきしめると、その感触が霧散した。

 眠いのをこらえて、のろのろ起きだすと、部屋へスコちゃんを探しに行った。

 


 いない……どこ?



 母の部屋に行っても、スコちゃんの姿はない。

 まさか。

 あれが、さよならの挨拶なんてことは……。


 ちょっぴり嫌な予感がして、小さく呼んだ。



「シャオリン……」



 ベッドに横になると、ドアの向こうに気配を感じ、そのままの姿勢で目をやると、スコちゃんがひょっこりやってきて、さわさわとその毛皮で私の腕をくすぐった。

 しばらくそうしていると、彼女は私の脇のところに丸まって眠ってしまった。


 かっわいい。

 だけど私は、ちょっと小用。

 そして思い出す。


 夕べ、お手洗いから出ようとして、スコちゃんに閉じ込められてしまったことを。

 ドアに圧をかけるから、出られなかったのだ。

 さんざん「出してー」と言って、できた隙間から指を出して鼻先をくすぐって、頼みこんだ。


 だから今日はドアを開け放しておいた。

 眠っていたスコちゃんは、ライオンみたいな歩き方でやってきて、水が流れる音を聴いてから、戻ってきた。

 納得がいったようだった。


 そして、また母のベッド(バカでかい)に横たわっていると、本当に、いつの間にか(小説でその表現はいけない、と言われるが)気がつくと傍らの長いすに寝そべっていて、私が背もたれの間から鼻でちょんとキスすると、ペロペロしてくれる。

 うん、私たちはうまくいっている。

 指を差しだすと、赤ん坊のようにじゃれる。


 心地よいのだ、彼女といると。

 共依存?

 スコちゃんはいつも、私のことを追いかけてくる?


 いいじゃない!

 好き合っているのだから!

 これでいいじゃない!






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