第184話 今日は大掃除とお風呂

 すごい勢いで、部屋の床のものをベッドの上にポイポイおいて、床掃除したの。

 で、昨日雨で果たせなかった約束を決行! お風呂でじゃばー。

 スコちゃんびっしょり! でもマイクロ雑巾(スコちゃん専用)でわしゃわしゃって一気に乾かした。


 うーん、ナイスよ私! って思うんだけど、なぜかスコちゃん悲しそうな顔をしている。

 夜になってから聞いたら、



『ぞうきんで拭かれたの……』



 って落ち込んでた(笑)。

 やあねえ。

 ぞうきんっていうのは、その昔、お坊さんが用いた浄巾のことで、汚いものを拭くんじゃなくって、つかったものや濡れたところを拭き清めるためにあった聖なる布なのよ。


 浄巾とぞうきん、似てるでしょ。


 って説明したら、なぜかもっと悲しそう。

 どうしたのって尋ねたら、



『じょうきんのこと知らなかったの……』



 って、悲しがってるスコちゃんがかわいい!

 大丈夫、知ってる人あまりいないし、説明しなかった私が悪いし、そもそも猫に言葉が通用するって知らなかったから! ごめんね!

 元気出してよー、お願い!


 それからスコちゃん、ふいっと部屋を出て行ってしまった。

 どこよ;;

 今日のちゅーるはもう弾数(一日4本)使い果たしてしまった。


 リビングのワゴンの後ろにも、植木鉢の影にも、ソファのカバーの中(!)にもいなかった。

 祖母の部屋にも、トイレにも。

 と、いうことは……ありえないと思って、最後に回したけれど、あそこかも。


 パチッと電気をつけて声をかけるけれども応えはない。

 当たり前だ、スコちゃん、書庫の腰掛の上に丸まっていた。

 どうしたの? いままでこんなことなかったのに。



 すねてるのー? 落ちこんでるのー? どっち?



『すねてるの』



 どうして?



『じょうきんのこと、知らなかったの』



 それは、私が説明しなかったからで……お風呂すっきりしなかった?



『すっきりはしたけど、ぞうきんで拭かれたのが嫌だった』



 それは悲しい思いをさせちゃったね。

 あれはマイクロ雑巾と言って、特別な、水を素早く吸い取ってくれる上等のぞうき……浄巾なのよ。

 スコちゃんのためにと思って、お風呂で風邪ひかせちゃいけないと思って選んで買ってきたのよ。



『知らなかったの』



 ごめんね。

 でも、私の気持ち、わかってくれた?



『うん……』



 そう、じゃあすねたフリに飽きたら、私のもとへ来てね。



『どうしてそれを……』



 ふふ。

 じゃあ、そこにいてね。



 私はスコちゃんの存在が確認できれば、安心できるのさ!







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