第180話 2020/04/16/木 ふわんふわんの彼女が好き
スコちゃんが、おやつをペロペロしてくれる姿もかわいい。
私が階段にさしかかると、まずスコちゃんのほうから先にたって、とたんとたんと音を立てて、下の方までいくと、こちらを見上げて待っている姿が愛おしい。
体重を計った後、マットの上に降ろすと、そこでごろーんってして、私の手を枕にすやすや眠ってしまうところがおかしい。
なにもかもが愛おしい。
だけど、それに終わりが来ることを私は知っている。
先代も、私によく甘えかかってきたが、こんなことがあった。
夕食に鮭が出ると、一番大好きでおいしい皮の部分を彼に与えていた。
こんなにおいしいのだから、きっと喜んで食べてくれるだろうと思ったのだ。
人間の食べ物は、猫には塩分過多で腎臓に悪い。
果たして、彼は生まれつき腎臓が弱い品種だった。
彼が死んで、私は鮭の皮がたべられる機会が何度もあった。
だけど、それを食べてくれる猫はもういないのだ。
うれしくなかったし、一時期食べられなくなった。
そのことを思い出すと、やはり猫のエサは気をつけねばと思うし、私は鮭の皮がおいしくなくなった。
だからこそ、スコちゃんにはたくさん気をつかってあげたい。
1スティック10㎉の、チャオちゅーるを食べさせてあげたい。
長生きと、幸せと、天秤にかけたら、幸せの方が重要だったのだ。
スコちゃんに幸せをあげたい。
幸せなスコちゃんとの、時間を過ごしたい。
だから、ちゅーるを誕生日に、めいっぱいおくれと母に頼んだ。
今、スコちゃんは人間用のソファの一角を占領しているが、お気に召したようなのでまあいいとする。
祖母が迷惑そうに足を折り曲げて寝そべっている、その足元にスコちゃんは毛づくろいなどしながら目を閉じて恍惚の顔。
ああ、たとえ、このソファが自由に使えるようになっても、スコちゃんがいなくなったら、とてつもなく寂しく、わびしく感じるのだろう。
そのとき、私はうれしくなどないだろう。
そんなことを考えました。
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