第71話 2019/12/14/土 おかしい……。
避妊手術をしてもらって、帰ってきてから、おかしいなと思っていたことがある。
お腹を切ったのだから、お腹を触られたがらないのならわかる。
だが、スコちゃんは背中にちょっと触れただけで、毛なみをざわつかせる。
歩き方もおかしい。
お年寄りが、おっかなびっくり、ひょこひょこ歩いているみたいな感じ。
それにもう一つ。
今日、スコちゃんをケージに入れるために、憩っていたトンネルボックスを持ち上げたら……なんと、ボックスは底がまあるく抜けていて、スコちゃんはとっすーん、とそこから落っこちてしまったのだ。
そして、仰向けのまま、きょっとーん! としている。
前脚がかわいい……とか言ってる場合ではない。
違和感。
なぜ、スコちゃんは背中から落っこちたのだろう。
歴代の猫たちは、ケージを逆さにしても脚を踏ん張って出てこないヤツラばかりだったというのに。
猫って、高いところから落ちても、必ず脚から着地するんじゃなかったっけ。
なにか、体に異常があって、そんな落っこち方をしたのだとすれば、避妊手術を頼んだ、あの病院で何かあったの……?
ケージに入れられたまま、落っことされたとか。
もしそうでも、面倒を見てくれていた助手さんを責めるつもりはないし、多分、私がいけないのだろう。
子猫の爪が小さくてかわいそうだからと言って、切り忘れた可能性がある。
病院の方は、命を預かるお仕事をしているのだから、それだけ危険を伴うのだと、納得せねば。
それに、ジャンプの失敗をよく見かけるが、それは家人が虐待などしたせいとは思わない。
祖母が箒で「しっし」とやっているのを見かけたが、けがをするほど叩いたりはしないはずだ。
もしそうだったら、スコちゃんが平然と彼女らの前に、堂々と姿を現すはずがないではないか。
今日は、抜糸の日だった。
にじんでいた血も、できて当然のかさぶただったとわかり、ほっとした。
お祝いにフィリックスの成猫用の、サーモンインゼリーをワンパックと、サーモンとまぐろと鯛のお刺身を一切れずつあげた。
お腹いっぱい食べてくれた、スコちゃんは……(スコちゃんはどこだ?)探したら、トンネルボックスの中にいた。
ケガはたぶん治るものだし、変な鳴き声もしてないから、明日あたりに動物病院に連絡、相談をしてみようと思う。
もし、手術跡が痛むのだったら、杞憂ってことだしね。
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