第70話 2019/12/13/金 姫様!

 私は、心に仮面を持つ女。

 エッセイではなめた口をきいているが、実生活はほとんど、スコちゃんの下僕にございます。

 だったら、初めにそう書けばいいのだが、なんだかこう、書きものをするときは斜に構えてしまうところがあるというか……。


 情けない話でございますが、我ながら心を乱す文章は書いていて体力ゲージの消耗が激しく、まったく降参です。

 戦いではないのですし、少し素を出してみようと思います。

 まず、スコちゃんは私の中では『姫様』なのでございます。


 印刷したスコちゃんの写真を見ては溜め息し、はふ。

 手足がかわいい、耳がかわいい、おひげがかわいい、おめ目がかわいい、お鼻がかわいい、あごがかわいい、のどがかわいい、しっぽがかわいい!

 かわいくないところなど、ないのでございますよ!


 今日は、久々に、ドリームキャッチャーのネックレスでじゃれて遊びました。

 私ではございませんよ。

 スコちゃんが、です。



 もう、さすがに鳥羽はボロボロです。



 そして、いつか買った(今年だ)ビーズのキーホルダー。

 スコちゃんが、ドアノブに飾られていたそれにちょちょいと構うので、クリスマスリースと並べて、どちらにいたしますかと、問うたなら。

 こっち、とビーズの方を示されたので。


 売っていたときのそのままの紐を小指にひっかけ、プラプラさせておりましたら、これまたスコちゃん、ハッスル!

 前よりも、格段とおもしろく遊んでくださる。

 前脚でかいかいしたり、転がしたり、くわえてキャリーハウスに運んでみたりと、無邪気なお姿。



 うれしくて。



 どうやらスコちゃんは、激しく動く獲物は好みでないようです。

 プラプラさせていると、決まって、その動きが鈍くなった時を狙います。

 私の指からそれを奪うや、夢中になって叩き落されます!


 鈴がチリチリ鳴りました。

 これもいつかはボロボロに……いえいいのです。

 おもちゃとして――ひいては思い出のためにと買ったものなのですから。



 まあ、飼い主が外へ出る時は、玄関から飛び出してしまわぬように、部屋に閉じ込めたりもいたしますが、スコちゃんをお守りするための緊急措置でございます。

 スコちゃんは今日もベランダに飛び出して、心臓を早鐘のごとく打ち鳴らしていらっしゃいました。

 怖いことをなさらないでください、とあれほど言いましたのに! おしりぺんぺんしちゃいますよ? いえ、いたしませんが。


 してほしくないことは一通りなさいます。

 ですが、祖母のイスをぶんどったりとか、麦茶を干そうとする私の背後をとったりとか、ソファで私の用意したひざかけのうえに丸まったりとか、そんなふとしたときのお姿が、とても美しくていらっしゃる。

 だれがほめなくとも、私の姫様ですから。


 らーぶらーぶ、なのでございますよほほほ~~。







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