第3話【清水先生】

今日はもう一話出します!

よろしくお願いします!


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次の日、昨日だけで掃除が終わらなかったので今日もその続きをしている。


「ふぅ〜、結構時間かかったな。

ついでに他のとこも綺麗にするか。

初めぐらい綺麗な家で迎えた方がいいだろうし」


そう言って椎名の部屋になる予定の物置部屋の掃除を終えた俺はリビングなど共有スペースになるだろう箇所の掃除を始める。


Prrrrrr!


午後五時、掃除をあらかた終わらせた俺がソファーでまったりしていると机に置いていた携帯が鳴り出した。


「誰だ?

あ、母さんか。

昨日あれだけ長いメッセージ送ってきたのにまだ何かあるのか?」


俺はそうボヤきながら通話ボタンを押す。


「はい、もしもし」


〈あ、零?

ごめん、昨日頼み忘れたことがあったの〉


「ああ、大丈夫だよ。

で、その頼みたいことって?」


母さんも椎名のことでバタバタしてるだろうしこの程度でとやかく言うほど俺は子供じゃない。


〈明日学校に行って椎名ちゃんの転入試験のことを聞いて、必要な書類とかがあったら貰ってきて欲しいのよ。

学校に連絡は入れとくからお願いしてもいい?〉


「了解。

行くのは昼頃でも大丈夫だよね?」


「うん、大丈夫だと思うわ。

それじゃお願いね」


「はいはいー」


そうして俺は電話を切って、明日の予定を考えながらまたソファーでくつろぐのであった。


◇◆◇◆◇◆◇◆


次の日、俺は母さんに言われた通り学校に来ていた。


コンコンコン


俺は職員室のドアを三回ノックしてから「失礼します」といって中に入り一人の女性の席まで行き「清水先生、おはようございます」と挨拶をした。


「ん?

ああ、五花か。

おはようさん」


この女性はこの学校の先生で俺の担任の先生でもある清水風音先生だ。

清水先生は黒髪ロングでスラッとした体型をしているのに出るところは出ている美人さんであるのだが、この口調のせいか元ヤンだったという噂まである。

あと国語の先生なのにいつも白衣を着ている。この前理由を聞いたところ「かっこいいだろ?」と本気っぽく言われた。少し天然な人なのだろう。

そして、その天然さと生徒思いなところが生徒から大人気の先生でもある。


「おい、おい!

五花、聞いているのか!」


「え?

あ、はい!

すみません少しボーとしてました」


頭の中で変な解説を入れていたせいで清水先生の声に気づかなかったみたいだら。


「おい、しっかりしろよ。

で、お前の義妹になるやつの転入試験の話しだよな?」


「はい、そうなんですけど、校長先生か教頭先生のところに行った方がいいですかね?」


「いや、私で大丈夫だぞ。

私から説明しろってお達しが来てるからな」


「あ、そうなんですか。

それでは提出書類や注意事項など教えて貰えますか?」


「おう、任せろ。

ちょっと待てよ〜。

お、あったあった。

ほれ」


そう言って清水先生は机の上の書類の山から一枚のプリントを探り当て俺に渡した。


「有難うございます」


俺はそう言って清水先生に進められた椅子に座り渡されたプリントに軽く目を通す。


「まあ、見ての通りだ。

何か質問あるか?」


「え?

説明はないんですか?」


「してもいいが本当にそのプリントに書いていることをまるまる読む形になるぞ?」


「じゃあいいです」


「よし、質問があれば言え」


「ちょっと待てくださいね」


俺はそう言うと次は俺の持っているプリントを端から端まで目を通す。


「はい、特に大丈夫そうです」


プリントに書いている説明はとてもわかりやすかった。これなら先生も説明を省くのもわかる気がする。


「今回は事情も事情なだけに特例で試験日を遅らせるって話しも出たんだが決まりだからとか、採点の時間や手続きの時間が厳しいとかの事情で無理だったよ」


「そうですか。

話にだしてくれただけでもありがたいです」


プリントには今日から二週間後の八月十四日水曜日と記されていた。

椎名の学力がわからないし両親のことで心も衰退しているだろうからこの短い期間で合格にまで辿り着けるかどうかはわからないが出来るだけの手伝いはしないといけないと思った。


「他に用がないならもういいぞ」


「はい、ありがとうございました」


「ちょっと待て」


「はい?」


俺がお礼を言い、椅子から立ち上がり振り返ろうとした時、清水先生に呼び止められる。


「お前の義妹、えーと椎名だっけ?

その子の気持ちが本当にわかるのはその子の周りにはお前しかいないだろう。

頑張って面倒見てやれ。

相談ならいつでものってやる」


「はい、精一杯頑張ります。

何かあれば相談に乗るかもしれないのでその時はお願いします」


「おう、任せろ」


「それでは失礼しました」


そう言って軽く頭を下げ職員室から出る。


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