第2話
「俺の顔、そんなに変か?」
「へっ!?」
いきなり話しかけられ、ほとんど反射のように驚く。
先程毒を吐いていたから余計だ。
「なんかずっとこっち見てるから」
そこで初めて彼の顔を見れば爽やかな好青年という感じで、きっとモテるんだろうなぁ、と質問の回答を考える頭の奥で、そういう考えがかすりと
「教科書もノートも筆記用具も持ってきてないから。初日なのに大丈夫?」
「…あぁ、そっか、そうだね、忘れてた」
忘れてた、って!これはもうドジとは言えないのでは。
「よかったら貸そうか?」
「あ、いいの?ありがとう」
笑顔でお礼を言われる。
意外と素直な人だな、と思った。
その人はずるずると机を私の方へ寄せてきて、私は教科書を半分ずつ机に乗るように移動させる。
ルーズリーフとシャーペンを取り出して手渡そうとすると、
「あ、俺大丈夫。いらないよ」
と手で制された。
「え、なんで?遠慮しなくていいよ。あ、この可愛いの嫌だったら…ほら、シンプルなのあるし」
「いやいや、俺ほら、ノート取らなくてもある程度分かっちゃう派の人だからさ。教科書だけで十分」
「ん…そう」
まあ世の中にはそういう人も居るのかもしれないなぁと、私はそこで手を引っ込めた。
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