学校と暗事

羽衣石れしか

学校と暗事

第1話


居眠りから目を覚ました私は、授業中の暇つぶしが見つからず、左で頬杖をついて、教室の自分から右の方をぼーっと眺めようとして、驚いた。


隣に知らない男子が座っていた。年は見た感じ私たちと同じくらい。


少し考えて、転校生かな、と思う。


朝のHRと一限はきちんと起きていたのだから、私が居眠りしていた二限の始めあたりに入ってきたのだろうか。軽く検討をつける。


きっと寝坊でもしたんだろうな。


そこで彼への第一印象は「初めての登校日に遅刻してくるドジな高校生」と私の中で決まってしまった。



しかし、なにか足りないような気がする。


周りの生徒と見比べると、その男子生徒は教科書、ノート、筆記用具など、勉強道具を何一つ持っていないことに気づいた。


机の横に掛けられたバッグにも、それらが入っている気配はない。


教科書はまだ配られていないのかもしれないし、私だって忘れることもあるからまだしも、勉強道具何一つ持たないで学校に来るなんて、ここに何しに来てるんだっての。(先程まで寝ていた私も言えたものではないけれど。)


初対面にも関わらず、心の奥で強めな言葉を彼に投げつける。


第一印象は「やる気のない高校生」にすり替わることになった。



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