07.ラリー初日を楽しもう!

 開会式が行われた後、ラリーのスタート時間が来たので小型車部門から一台ずつスタートしていく。二〇チームあるのでカミオン部門はその後だ。二〇五番のヤマノ・チームは最後尾スタートとなる。


 魔導車がスタートしていく度に観客席から拍手と歓声が沸き上がる。


 カミオン部門もスタートの時間が来てスタート台に登っていく。スタート台は少し高めの台になっていてスロープで登り降りするようになっている。スタート審判が時計を見ながら出走時間になるとゴーサインを出して順番に魔導車は走り出していく。


 俺の順番が来たのでスタート台に登りスタートを待つ。ゴーサインが出たのでスタートだ。スタートしてから暫くは都の中を走行する区間だ。ここは交通法規に従い走行して速度は競わない。暫く走行すると舗装区間が終わり荒野となっている未舗装区間に入る。ここからタイムアタック区間の始まりだ。何時もはウニキャンをのんびり走らせているがアクセルを踏み込むとウニモグの排気量五一三二cc、一七〇kWのエンジンが唸りを上げる。最大トルク九〇〇Nmで加速する。


 未舗装路ならウニモグの得意分野だ。快調に飛ばしていく。後方は土煙が盛大に上がっている。何も見えないね。暫くすると前方に土煙が見えてくる。追いつきそうな勢いだ。順番的には二〇四番チームの猫獣人さんチームだろうか?


 スタート前に各チームのトラックを見てきたのたが競技規則で未改造が基本で小規模改造のみとは言え、道なき道を走破することを目的に作られた専用車と一般的なトラックをオフロード向けにした車種では性能に差が出るのは分かってはいたが、こんなに早く追いつくとは思わなかったよ。


 追いつきそうにはなったが追いつく前にタイムアタック区間が終了した。


 タイムを確認すると第一区間はトップだった。飛ばしすぎたかな?かと言ってゆっくりわざと走るのも面倒なんだよね。時間制限とかもあるし。


 次のタイムアタック区間までは安全運転区間だ。ゆったりと進む。次のタイムアタック区間は舗装路。ここは全員走りやすいからそんなに差が出ないだろう。舗装路なので快適だ。ここまで来るのに長い間、山道を走っていたので慣れてはいる。ナツなんて助手席で眠っているよ。


 今回の異世界ラリーの競技スタイルは地球のラリー競技に似ているけれどラリーとラリーレイドが合わさったような競技なので似ているようで似ていない。事前走行の「レッキ」もないしね。事前に渡された地図とコースを頼りに進んで行く感じだ。一応、スマホのマップでマッピングされていくのでナビは寝ていても大丈夫だ。


 第二区間はあまり攻めなかったので真ん中ぐらいの順位だ。次の第三区間はまた未舗装路区間。特に問題なく走る。ウニモグだとこの手の未舗装路なんて舗装区間とあまり変わらない感じで走るので快適なんだよな。恐るべきオフロード最強トラック。この区間でも前のチームに追いつきそうになる所でタイムアタック区間が終了した。


 初日のレースが終わって三位の成績だった。舗装路で全力で走行したらトップだったかもしれないが自重して正解だったな。


 本日のゴール地点で各自キャンプなんだよな。大抵のチームがテント張っている中、我がチームはキャンピングカーなので基本的に設営は一瞬で終わる。チームによっては壊れている所を直している所もあって大変そうだ。我がチームは神器なのでメンテナンスフリーなんだよね。これは他のチームから見ればチートかも知れない。


 晩飯はカレーパエリアにしよう。屋台のために前日に仕入れたので材料はたくさんある。屋台の許可は取っているから問題はなく売って参加費分の元は取らないとな。


 カレーパエリアを作っていると他のチームが匂いに釣られて寄ってくる。獣人の皆さんは鼻が効くので遠くのチームからも匂いに釣られてやってくるね。


 今回は鶏肉のカレーパエリア。野菜とにんにくをみじん切りにして、鶏肉には塩胡椒で下味をつける。フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて炒めて鶏肉を投入。鶏肉は焼き目がついたら一旦フライパンから取り出す。フライパンで野菜を炒めて火が通ったら米を入れてカレーとコンソメと鶏肉を入れてお湯を入れて一五分ほど炊き上げて完成。料理本によると蓋をしないで炊くのが美味しくなるコツらしい。


 みんな食料を持ってきているから売れないかと思ったけれど案外売れていくな。どうやら軽量化のために携帯食料を中心にして食料をあまり持ってこなかったようだ。


 今夜の売上で参加費の元は軽く取れそうだ。

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