04.獣人国の都に行こう!

 翌朝、ナツを連れて湖畔まで散歩。ナツは湖の湖面を興味深そうには覗いては全速力で戻ってくるという遊びを繰り返していた。暫くして飽きたようなのでキャンプ場に戻って出発の準備。受付でチェックアウト手続きをして出発する。


 ダム湖沿いに南下。暫くするとダムが見えてきたので立ち寄る。ダムを見ると石を積み上げたような外観をしている。ロックフィルダムて奴かな?ダムに詳しいわけではないのでそれ以上は知識ないが。


 ダムの高さは一〇〇メートル以上はありそうだ。暫くダム上の道路から下を見てみたりとかちょっとだけダム周辺を散歩して次へ進む。


 暫く進むと森林地帯を抜けて乾燥地帯に入ったようで樹木はまばらになる。南に来たなて感じ。オーストラリアとかスペインとかそんな感じかな?国境沿いの山脈で気候が変わっているのかな?


 赤茶けた大地と果樹園かトウモロコシ畑かなにかの農地を見ながら進んでいく。地平線が見える景色は狭い日本に住んでいた俺には感動を覚えるけれど運転するには単調で疲れやすいのが欠点だな。


 畑だったり低木だったり集落だったりの景色を見ながら進んで五日目。ついに獣人国の都に着いた。


 獣人国の建物はエルフ国と違って石造りやレンガ造りの建物が多い。乾燥している土地というのもあるかもな。屋根瓦は茶系の色が多いが決まっているわけではないようだ。


 商工会議所に立ち寄って屋台の許可を貰うついでに色々と聞くことにした。旅行ガイドブックによると獣人国て体格的に力自慢が多くて武闘大会がよく開催されているらしいのだ。闘技場の近くで武闘大会の観客目当ての屋台が出来ないかなと思ったわけだ。


 商工会議所に入ると大いに賑わっている。受付で整理番号を発券しているぐらいだ。順番が来たので受付の狐獣人さんに屋台の許可を貰いつつ武闘大会の話を聞いてみると……。


 今年は大規模武闘大会がキャンセルされたんだとか。なんでも獣人国では空前の魔導車ブームで獣人達の間で力自慢より魔導車に乗って魔導車自慢に熱中しているらしい。最近は魔導車レースが大人気となっているようだ。そんななか武闘大会の出場者不足で大きな大会は異例のキャンセルとなったようで。規模を縮小しての開催なので観客も少なく商売的には美味しくないとか。魔導車レースの会場で屋台出すほうが良いとのことだ。


 いきなり予定が狂ったな。魔導車レースか……。地球にいた時は自動車レースはたまに見ていたけれど異世界でも見れるとは思わなかったよ。


 街中の食堂で昼飯食べたりして市場調査。煮込み料理で鶏肉、チョリソー、ベーコン、野菜、豆類を煮込んだものにスープが付いたものが二六九クローナだった。美味しかったけれど三十路後半の俺には多い量でお腹いっぱいだ。


 ちなみに屋台やるということで獣人の食の好みを商工会議所で確認したんだが、獣人なので肉食だったり草食だったり雑食だったりとかに分かれているのかと思ったら、獣人は基本的に雑食なんだそうだ。見た目が草食動物の獣人が肉を食ったりするのはあまり想像できないけれど、過去に見たニュースでは草食と考えられていたノウサギは肉も食べるとあったので実際には何でもありなのかもしれない。特に気にしないでメニューを決める事が出来そうだ。


 市場調査も終わったので都の郊外にあるキャンプ場に向かった。大きな公園の一角にあるキャンプ場で近くではここしか無かった。一泊一二四クローナだそうなので払って入場。ここの受付は犬獣人さんだった。キャンプの設営をして晩飯は軽く蕎麦でも食べて寝ることにした。やっぱり昼飯多すぎだったな。

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