03.エルフと昼ごはんを食べよう!
思わぬ所でエルフ少女(仮)を拾ってしまった!!俺は少しワタワタした。いや少しではなかった、かなりワタワタした。
少女かと思ったのはふっくらと胸の膨らみがあるからだけれど、自分が知っている知識が通用するとは限らないので推定でしかない。
もちろん年齢も見た目が少女なだけでファンタジー設定と同じだとしたら年齢も見当がつかないので(仮)である。
エルフといえば浮世離れした格好しているイメージだが着ている服は山ガールぽい感じだ。森というか山に来るなら登山できそうな服になるのは当たり前といえば当たり前なので変ではない。
観た感じでは特に外傷も無くて打ち身ぐらいしか見当たらなかった、呼吸も安定しているので大丈夫だろうか?
とにかくエルフの医学的知見なんて有るわけもないので様子を見るしか無い。とりあえず地面に寝かして置いたままにするわけにもいかず、キャンピングカー内のベンチに寝かせて様子を見ることにした。目覚めなければこのままここでキャンプかな?
安心した所で腹も空いているのに気がつく。静かに寝ているところで車内で料理して煩くするのもアレなので食材を外に持ってきて野外調理とすることにした。
日除けのタープを引き出して、折り畳みの椅子とテーブルを設置。野外調理用のガス台を準備して料理を始める。
簡単に出来るラーメンがいいかな?ということでお気に入りの塩ラーメンの袋麺を取り出して調理。来る途中に買った焼豚があったので本日はチャーシュー麺だ。チャーシューは入れる前に料理用バーナーで軽く炙って温める。行きつけのラーメン屋でやっていて美味しかったので真似しているのだ。メンマとゆで卵と茹でもやしと海苔を入れて、袋麺についている煎り胡麻をふりかければ出来上がりだ。そんな感じでごく普通のチャーシュー麺を作って昼飯。
昼飯なのは太陽が頭上にあるから今は昼飯だろう。
「いただきます」と独りなのに日本人の習慣で言ってしまうが、なんだか知らないが今も生きていることにとりあえず感謝だ。
何時もの定番の味だと思いながら食べていると何やら背後から気配を感じる……。
背後をそっと見遣ると件のエルフ少女(仮)がよだれを垂らしながらこちらをじっと見ている……。
これがっ「エルフ様が見てる」かっ……。
「おっ、起きたか」と言ってから通じないだろうということに思い当たったが、海外経験はあるけれど喋れるのは英語だけだ。何語で喋れば良いかもわからないし、開き直ってジェスチャーを交えながら「食べる?」と言ってみた。
「食べたい……」とエルフ少女(仮)。
言葉が通じるんだ……。
これが巷で言われる異世界七不思議?というやつか(いや、そんなものはない)……。ともあれ言語が通じるなら問題はない。
まず、もう一脚用意して少女に座って待つように即す。もう一食分のチャーシュー麺を調理してエルフ少女の前に置く。
「さぁ、召し上がれ!」
一応、何で食べるのか分からなかったので箸とフォークの両方を置いておいたら、箸を器用に使って食べ始めた。そうか、この辺りの人達は箸を使うのか。
俺も席に着いてすっかり伸びてしまった自分のチャーシュー麺を一緒に食べる。
二人して同時に完食して少女も満足そうにしている。
落ち着いた所で、どうして倒れていたのか聞いてみると、どうやらあの大猪が突然現れて驚いて後ずさった所で躓いて倒れた所で気を失ってしまって気がついて起きたらキャンピングカーの中だったそうだ。
俺の方の状況も少女に手短に説明すると御礼をしたいので村に寄ってくださいと言われる。
全く勝手のわからない世界なので有り難く申し出を受け入れて、少女を村まで送っていくことにした。
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