第111話 女神見習い、お土産を堪能する


 街に着き、門番さんにライムは今から従魔登録しますからと告げる。うん、じゃないと街に入れないかもだし……まぁ、カーラ達は有名なので信用もあるし問題なく通ることができた。

 冒険者ギルドの部屋を借りドロップを分ける。ちなみにライムの従魔登録もあるということで部屋を借りることができた。

 ドロップ品は帰りながら相談して5等分に落ち着いたので大丈夫。ちなみに甲羅についてはルカ以外が辞退したのでルカと私で分けることになった。うん、遠慮しようとしたらポーションパウダーもらったからって言うんだけどなんだか丸め込まれたような気がしている……


 「あっ!それはサブマスに献上するって言ってたじゃん!みんなの得になってないよ」

 「……おー、珍しくエナが正論を」


 こら、ステラ失礼だなー!珍しくなんてない……はずだよ!


 「まあまあ……俺としては甲羅を持って帰れただけで満足だし」

 「えー……じゃあルカが好きに選んで残りをもらうことにする。あ、もちろん遠慮せず状態のいいやつ選んでね?私はどうせ加工してもらうから割れててもいいし」


 うん、いくつかはステラの魔法でヒビが入ったり割れたりしてるんだよね……


 「じゃあ、遠慮なく」

 

 さっそくみんなに背を向け床に出していく……


 「こんなにあるのか……」

 「あ、カニもこっちに出して平気?」

 「ええ……」


 カニはカーラが持ってきた木箱に入れ4つにわけておく……


 「じゃ、じゃあ俺はこの甲羅にするよ」

 「え?予備は?いらないの?」

 「じゃあもうひとつ……」

 「ひとつだけ?たくさんあるのに……」

 「……エナ……あれは置き場に困るから」

 「あー、そっか……じゃあ残りは遠慮なく?」

 「「「「うん、持ってって」」」」


 それでもルカも気に入った甲羅を選べたみたいで満足そうだし、カニもみんなで分けても十分すぎるほどあったからうはうは気分。今からご飯が楽しみ。


 「いやー、やっぱりエナがいると面白いこと起きたな?」

 「「「……確かに」」」

 「そうかなー?」

 「また誘っていいか?」

 「うーん……あ!美味しいものがあるなら考えるかも?」


 あれれ?なんでそんな呆れたような顔するの……気まずくなったのでお茶でも入れて場を和ませよう。そうしよう。


 「はぁ……手慣れてるね」

 「まぁ、いつものことだからね」

 「じゃあ、従魔登録もさっさと済ませちゃおうか」

 「うん……カーラがやって問題ないの?」

 「平気平気。エナの担当は私かマルガスさんだから」

 「そっか」


 従魔登録に小銀貨1枚とギルドカードを渡す。


 「はい」

 「はい、確かに。登録しちゃうね……従魔の証はとりあえずそのハチ……リボンでいいの?」

 「うん」


 カーラ、今さらっとハチマキって言おうとしたね?ていうかこっちにもその言葉あるのかー……あ、勝手に翻訳されてるのか。


 「うん、意思疎通を図ることも確認済みだし……はい!これで従魔登録完了です」

 「ありがとう」


 

 ギルドでカーラ達と別れ、ライムと共に早足で家に向かう。うん、ちょっと時間かかっちゃったからね……みんなお土産待ってるはずだし。一瞬歩くの早すぎかなって思ったけど、ライムは街への道中もこれより早くてもぴょんぴょんしてついてこれてたから問題ないって気づいた。


 「ただいまー」

 「ん、おかえり」

 「おかえりー……あれ、エナなんか連れて来たでしょ」

 「あ、そうだ。そこにいるのはスライムのライム。お婿さん探すんだって」


 あれ、なんか説明が足りないような……


 「そうだ!お土産もたくさんもらって来たよー……スライムゼリーも分けてくれるって!」

 「ん、わかった……」

 「へー」

 

 当のライムはぴょんぴょんしながら庭を散策している。


 「うわっ!な、なんですかっ」


 工房から出て来たばかりのユリスさんは足元でぴょんぴょんするライムに驚いている。


 「あ、その子スライムのライムって言って仲間になった子なので!攻撃しなければ問題ないです。あと触れることで意思疎通できるので」

 「は、はぁ……」


 リディはさっそくライムに触れ挨拶している……ユリスさんは恐る恐るだ。


 「お土産もたくさん持って帰って来たのでまずは美味しいご飯お願いします」

 「わかりました」

 「ん、手伝う」

 「ありがとう、リディ」


 さっそく台所にお土産を置いていく……


 「け、結構ありますね……」

 「そうですね……でも、みんなたくさん食べるしあっという間になくなると思うけど……余ったら持ち帰るので大丈夫ですよ!」

 「そうですか……腕によりをかけて作りますね」

 「ん、頑張る!」


 2人が頑張っている間に庭の片隅に甲羅を重ねて置いておく……後でユリスさんに説明しよう。


 ライムはブランやキュリエルと何やら会話?しているみたい……うん、精霊と#キラーバード__暗殺者__#とスライム……ちょっと変わった組み合わせだけど仲良くできそうでひと安心かな?

 

 「「「「いただきまーす」」」」

 

 もぐもぐ……うん、美味しい。流石に生はやめておいたけど、ただ茹でただけでも十分美味しい。唐揚げやスープ美味しい……あっという間にお皿が空になりユリスさんは忙しく追加を用意することになった。

 流石に今回で全てを使うことはなかったけど、なくなる日もそう遠くないと思う。


 ライムの食事風景は少し不気味だった……っていうか大食漢だった。うん、半分くらいはライムが食べたもんね……でも、ご飯のお礼にスライムゼリーを分けてくれたんだよ!


 「ブラン、そんなに心配しなくて大丈夫。ちゃんと味見はしたから!」


 心配そうなブランをよそにリディはスライムゼリーをぱくり


 「ん、美味しい!」

 「だよねー」


 みんな気に入ったみたい……うん、仲間にしてよかった。


 まぁ、害がなければ森の家の結界の出入りも自由にできるし、存分にお婿さんを探してくれ……そしてお婿さんの分もスライムゼリー分けておくれ。希望があれば寝床?も準備しようと思ったけどひとまず様子見かなー。


 そうそう、試しに店舗にポーションパウダーも置いてみようかと思ったんだけど……あれ、これも公認のマークってつけていいのかな?っていうことに気づいたんだよね。


 「はぁ、やっぱりギルドで聞かなきゃか……」


 ま、カーラがサブマスは話すって言ってたし近々納品に行くからそれからにしよう。ギルドにいるときに気づけばよかったよ……いや、絶対長くなって帰りが遅くなっただろうから気づかなくてよかったのかな……

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