第99話 女神見習い、少女と冒険者ギルドへ(1)
ユリスさんお手製の美味しいご飯も食べたし、ゆっくりしたおかげで魔力もだいぶ回復したし……そろそろギルドへ行かなきゃ。
「リディ、行こっか」
「ん」
「「いってらっしゃい」」
「「いってきます」」
空の荷車をゴロゴロと引き冒険者ギルドの裏口へ……
トントンーー
「はーい!あ、エナ……いらっしゃい」
「カーラ。買い取りにいるなんて珍しいね?」
「うん、マルガスさんが用事でいないからこっちのサポートをしてるの。さ、どうぞ?」
さっそくソファに座り……
「そっか……今日はポーションの納品とダンジョンの素材の買い取りとリディの見習い登録解除かな?」
「ん、ブランの羽も……」
あ、そうだったね。
「はい、かしこまりました。ということはリディさん、お誕生日きたんですね?おめでとうございます」
「ん、ありがと」
「えっと、ポーション並べるの時間かかるんで、先にリディの見習い解除お願いします」
「はい。ではおふたりのギルドカードをお預かりしますね」
リディと私のギルドカードを渡し、ポーションを種類ごとに木箱に並べていく……
「はい、これでリディさんの冒険者見習いは終了です。今後は他の冒険者と同様討伐依頼も受けられますし、ランク昇格も可能です。多分、何回かキラーバードの羽を納品してくれるとサブマスがどんどんランクを上げてくれるはずです」
「なんでですか?」
「あー……従魔がいることと、ブラッドベアを倒したことがあるので……」
あれ?なんでカーラが知ってるんだろ?それはサブマスとマルガスさんしか知らないはず……お肉も分けてあげたんだから。
「エナ、なんか不思議そうにしてるけど、ブラッドベアのお肉を料理したの私の父親だよ?残った分は私が美味しくいただきました。それで、マルガスさんにまたエナなんですか?ってカマかけたら……リディさんだってわかっちゃったの。最初は信じられなかったけど、従魔もいるし……」
「ん、ブランと頑張った」
「そうだねー……ミーナちゃんたちに多めにおすそ分けしたんだもん。そりゃ、カーラにも伝わるか」
そっかぁ。それでリディもサブマスに目つけられちゃったのか……ある程度まではすぐにランクが上がっていくんだろうなぁ。
「それでリディさんの納品を先に済ませますか?」
「ん、お願いします……あと、リディでいい」
「えっ、私もエナみたいに呼んでいいの?」
うわー……カーラの満面の笑み、久々発動した……リディもカーラに慣れてきたってことだね。
「ん」
「嬉しいですっ!じゃあ、リディ?キラーバードの羽の納品でよろしいですか?」
「ん、お願いします」
「あれ?……そういえばキラーバードの羽の納品ってGランク依頼だよね?リディが昇格した場合はどうなるの?」
さすがにGランクの依頼をずっと受け続けることはできないだろうし……
「あー、確かにそうなんだけど……ここまで白くて綺麗な羽は滅多にないからGランク依頼とは全く別物として扱われて、サブマス権限の指名依頼扱いになると思います」
「ん、よかった」
リディが丁寧にバッグから羽を取り出すのを横目にいつも通りお茶を入れる。うん、美味しい。もちろんカーラとリディ、ブランの分も忘れずに入れたよ……ブランの分はスルーしようとしたらすごい目で訴えられたから。べ、別にブランが怖いわけじゃないんだからねっ……
「はい、キラーバードの羽の納品で銀貨6枚と小銀貨2枚ですねー」
うん、相変わらずすごい額だね……下手したら中堅冒険者より稼いでるね。
「ん、銀貨5枚は口座に」
「はい、今回の依頼でリディはEランクに昇格です。おめでとうございます」
「え?」
「……ん?」
「あー、ちょうど今回の依頼で昇格のタイミングだったんです」
「なるほど……リディおめでとう」
「ん、ありがと?」
「ギルドカードと残りのお金です」
「ん」
さて、次は私の番かな?
「じゃあ、次はエナだね。ポーションの納品からでよろしいですか?」
「はい」
「チェックするのでしばらくお待ちください」
「はーい」
カーラがポーションを数えている間にダンジョンの素材を邪魔にならないよう床に種類別に並べていく……結構あったな……これでも鉱石とか魔結晶分は減ってるのに。
「はい、お待たせしました。ポーションは全部で金貨1枚と銀貨9枚ですね」
「はい、確かに……そうだ、ついでにポーションの瓶買って帰りたいんだけど……200本くらい?」
今回の納品、いつもよりポーションの量が少し多かったから瓶がなくなってきたんだよね……今日はお風呂(ヒノキ)とかトイレ(洋式、手洗い場付き)とか冷凍機能付き冷蔵庫にポイントもたくさん使ったし、たまには買ってみようかなって思ったんだけど……
「えーっと、ちょっと待っててくださいね?数があるか聞いてきます」
「あ、もし数が足りなくてもその分だけでも買うので……」
「わかりました」
ゆっくりお茶を飲んでて思い出したけど、そろそろ商業ギルドも行かないとなぁ……お茶が少なくなってたんだよね。でもなぁ、リディはあそこは嫌かもなぁ。私も最初は絡まれたし……1度、家に帰ってから出直すか……
「リディ、退屈してない?大丈夫?」
「ん、平気」
「そっか……よかった」
「はぁっ、はぁっ……お待たせしました。200本ありました」
カーラが荷車でゴロゴロと運んできてくれたみたい。
「えっと、いくら払えばいいのかな?」
「エナはまとめて買った上にギルド公認なので安くなり、本来は瓶1本銅貨1枚のところが1本小銅貨7枚になります。それが200本なので……銀貨1枚と小銀貨4枚ですね」
「はい、これで……」
公認ってこんなところで役に立つんだね。説明された気はするけど、すっかり忘れてた。あ、この瓶ドネルマークだ。瓶はストレージにどんどんと放り込んでおく……うん、割れないし重くないし完璧だね。
カーラの冷めた目は気にしてはいけない。きっと自分が苦労して持ってきたのに……とか思ってる……いや、実際つぶやいてるけどキニシナイヨ。
……瓶もたくさん買ったから意外と高くなったけど、これで頑張って拾った誰かがお腹を満たせるのならこれからも時々瓶を購入することにしよう。
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