第13話 女神見習い、初めての買い物(4)

 


 雑貨店で残りの必需品がすべて揃ったのでのんびり教会に向かいつつ、人気のない路地で荷物を素早くストレージにしまう。


 「ふぅ……仕分けは後でゆっくりやろうかな」


 ついでに道端にあった拳ほどの石を拾い、先ほどとは別の革袋に入れて腰からぶら下げる。

 万が一の時に振り回すだけで武器になるだろうし、ないよりはマシだと思う。

 ほら……一応外套のフードで顔を隠すけど、美少女だし(ナルシストとかじゃなく女神仕様だからね?)



 「あれだけたくさんあった荷物が全部入って重さも関係ないんだから、ストレージってつくづく便利だよなぁ。お金も意外と余ったし、失くさないように色んなところに仕舞っておこう……」


 こちらの世界に来てから初めての買い物を終え、女神だとバレずにやり遂げた満足感に浸っていると……ふいに隣に誰かの気配を感じた。


 「……アルさん」


 教会ではさり気なくほかの街の様子を聞いたつもりだったんだけど……アルさんにはバレバレだったのかぁ。


 「わしのせいかのぉ……エナちゃんはランヴィを目指すのであろう?」


 様子がおかしいことに気づいてわざわざ会いに来てくれたのかな……なんかアルさんが責任感じてるみたいだけど、それは違う。


 「違いますっ、アルさんのせいなんかじゃありません。ただ、私には荷が重かった。それだけのことです……それに、アルさんがいてくれたから私が突然いなくなっても教会へ来る皆さんが困るような事態にならなくてよかった。とむしろ感謝しているくらいですよっ」

 「そうは言うけどのぉ……そうじゃ! エナちゃんにはあれをやろう。きっと、いつか役に立つはずじゃ。あとで確認してみるとよいぞ」

 「……わかりました」

 「ふむ、ランヴィの街のあ奴は確か……3月後あたりに降臨するはずじゃ……気のいいやつだから安心せい。降臨したときにでも会いに行けば問題なかろう……ついでに天界に帰ったら話を通しておいてやろう。とにかく困ったらいつでも連絡してくるんじゃぞ? まあ、困らんでもこまめに連絡してくれると嬉しいのぉ。連絡がなかったら心配で会いに行ってしまうかもの……」


 ふぉっふぉっふぉっ……と冗談なんだか本気なんだかわからない言葉とともにいつの間にかアルさんは消えていた。


 「そっか。これから目指す街にも神様は降臨するんだ……」


 どんな神様なんだろう。気のいい神様ってことはやっぱりアルさんみたいな感じなのかな? まぁ、問題がないならいいか……そうそう会うことはないだろうから。


 さっきのアルさんがくれたというものが気になったのでを調べてみた。


-----


ー履歴ー


 【精霊魔法】が使用可能になりました。

 【大地神アルネルディの加護】が授けられました。


-----


 精霊魔法がスキルに加わっていましたが使いこなせるか不明です。

 どうやら、精霊と契約したり力を貸してもらえるみたい。ま、おいおいゆっくり使ってみようかな?


 さらには知らないうちに服や持ち物にまで加護を授けてくれるなんて……アルさん、至れり尽くせりで優しすぎます。

 人の連絡を無視するどこかの駄女神と大違いなんですが……


 「旅の道中もどうせ歩くだけで暇だし、魔法の練習も続けてみようかな……」


 街を移ってからはどうしようか……

 回復魔法の使い手は少ないようなのでそれを使えば職に困ることはなさそうだけど……そこから万が一でも身元がばれるという危険を冒したくはないし、しばらくは直接的に人の生死を自分で背負いたくない。

 だから仕事にはできない……いや、したくない。


 一般人としてのんびり生きていくためには何が最適かな……うーん。


 「やっぱりポーションだよね…… ポーションを作ったことはないけど、教会でもポーション職人がいるって聞いたことあるから、案外仕事にできるかもしれないし」


 そうだっ、女神の知識とスキルをフル活用しつつ、ポーション作って地道に生活基盤を整えよう。かわいいエプロンもあるし。

 それで、のんびり自由に暮らしてみようかな。


 「女神見習いならポーションも作れる……はず? 『女神の調合』ってスキルがあるくらいだから平気だよ、きっと……多分」




◆ ◆ ◆ 


【ステータス】 

 種族:女神(見習い)/人族

 氏名:エナ・ハヅキ

 状態:通常

 体力:250/250

 魔力:55000/55000

 運:77 (+2)


 スキル 

 ・火属性魔法レベル2

 ・水属性魔法レベル2

 ・風属性魔法レベル2

 ・地属性魔法レベル2

 ・光属性魔法レベル2

 ・回復魔法レベル3

 ・状態異常無効レベル1

 ・接触防衛レベル1 

 ・火属性耐性レベル1 

 ・水属性耐性レベル1

 ・風属性耐性レベル1

 ・地属性耐性レベル1

 ・光属性耐性レベル2

 ・闇属性耐性レベル2

 ・体力自動回復(中)

 ・魔力自動回復(大)

 ・成長経験値上昇(大)

 ・精霊魔法 レベル1


 特殊スキル

 ・女神の祝福レベル3

 ・女神の浄化レベル2

 ・女神の調合レベル1

 ・女神の心眼レベル2 

 ・女神の聖域レベル2

 ・言語翻訳

 ・感謝ポイント〈1986ポイント〉累計〈4341ポイント〉


 ー称号ー

 巻き込まれし者・当選者・女神見習い


 ー加護ー

 慈悲の女神フィラの加護・慈悲の女神の部下コルドの憐憫・大地神アルネルディの加護



 その他機能【交信】【履歴】


◆ ◆ ◆


【ストレージ】〔16/100〕


 一覧

 〈水 99リットル〉

 〈じゃがいも 50個〉

 〈玉ねぎ 50個〉

 〈パン 25個〉

 〈りんご 10個〉

 〈塩 5キロ〉

 〈油 2リットル〉

 〈仕分け用袋(大):干し肉 9袋〉

 〈仕分け用袋(大):ナッツ 9袋〉

 〈仕分け用袋(中):ランプ、携行食2日分〉

 〈野営セット: テント、毛布、水袋、火打石、ロープ、ハイポーション初級1本、マナポーション初級1本、簡易コンロ、鍋、食器〉

 〈仕分け用袋(巾着):シュービッツ、スポンジ〉

 〈仕分け用袋(大):寝間着 上下、エプロン、市民の服一式、下着セット×2〉

 〈生地 5メートル〉

 〈仕分け用袋(巾着):銀貨3枚、金貨1枚〉

 〈仕分け用袋(大):大11、中8、巾着3、革袋3〉



◆ ◆ ◆

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