第18話 帰り道3。

ただ、一つだけ気になる点が。


「……でね」


「ボビーお兄様」


「うん? どうしたんだい?」


「この大陸には王都にしか学園がないという話なのですが。他の種族の子どもたちも通うというのに、どうして大陸の中央に王都を作らなかったのでしょうか」


「五歳でそんなことを考えられるなんて、セシリアは本当に自慢の妹だよ! ……えっと、確かベンが言うには、この大陸の中央には変な匂いのする場所があって危険だから、誰も近づかないんだって。あと、熱い水もあるとかで恐れられているらしいんだ」


「変な匂いに、熱い水……?」


「そうなんだ。何でも腐った卵のような匂いだとか。怖いよねぇ」


そ、それはまさか!

オンセンではないのだろうか!!

オンセンタマゴにマンジュウ、ニホンシュ片手にロテンブロ。


まさに、ユートピア!!!


……いや、焦るな。

まだ決めつけるのは早いかもしれない。

文献による根拠が必要だ。

それに、もう少し大きくなったら、ちゃんと現地調査に行く必要も出てくるだろう。


とは言え、もしも本当にこの大陸の中央に温泉地帯が眠っているのなら。

そう思い、私は期待に胸を膨らませた。


こうして、私のスローライフ計画に大きな方針が立ったのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る