第16話 帰り道1。
帰りの馬車で、ボビーお兄様はいつにもなく興奮していたようであった。
「セシリア、君がジャン王子を追いかけて行ったあと、ぼくは他のみんなと仲良くなったんだよ。今度、領地にも遊びに来てくれるのだって」
「それは、良かったですね」
「十三歳から通うという学園のことについても、キース王子から教えていただけたんだ」
「キース王子は、まだ十歳ではありませんでしたか?」
「うん、そうなんだけど。通う前から学園のことについて情報を集めているんだって。さすが、第一王子だよね。学園は、王都にあるからほとんどの生徒が寮ぐらしになるんだって。それに、この大陸には学園が一つしかないから、ヒト族だけじゃなくてシド様たちのように他の種族の子どもたちもたくさんいるらしいんだ。ベンの話だけでは分からなかったことだよね」
さらに、ボビーお兄様は息付く間もなくしゃべり続ける。
「それにね、獣族の土地は年中暑いから、みんなで海に入ったりするんだって。で、エルフ族の土地はここより少しだけ涼しくて、真っ赤な葉っぱや黄色い葉っぱの茂る木々があるんだって。でも、反対にドワーフ族の土地はいつも雪という白い結晶が降っていて、凍てつくような寒さなのだって。毛皮を着なくてはならないくらい寒いんだよ。セシリア、想像出来る?」
想像出来ないわけがないけれど。
そう言ってしまうわけにもいかないので。
「世界には不思議な場所もあるのですね」
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