第13話 第一王子と第三王子。

「ねぇ、僕たちの紹介はしてくれないの?」


そう言って、私たち七人の前にやってきたのは、これまた麗しき少年と愛くるしい男の子だった。


こんなに顔面偏差値の高い人々が集まって果たして世界は崩壊しないのだろうか、と私は少しだけ本気で心配した。


少年はどことなく真意の読めない笑顔で、私たちに近づいてきた。その後を男の子が必死についてきている。

彼らの様子を一瞥したエドワード王子は、親しげな笑みを浮かべてこう言った。


「キースお兄様! それにジャンも!」


それから私たち兄妹にも笑顔を向けて、


「二人は俺の兄弟なんだ。キースお兄様とジャンだぜ」


「初めまして、小さなレディ」


そう言って、私に膝まづいたのはこの国の第一王子キース様。


エドワード王子がヒト族の現セオドア王譲りの赤髪なのに対し、キース王子はレイラ王妃にそっくりの雪のように真っ白な髪をしていた。


「初めましてキース様、ジャン様。私、ブラッドレイ公爵家の長女セシリアにございます。そして、こちらが兄のボビーでございます」


それから、またもや短い手足をなるべく優雅に動かしながらの淑女の礼を一つ。

私の仕草にキース王子は瞳を細めた。

やはり、何だか裏がありそうな人である。


私の挨拶に何の反応も示さないジャン王子を、エドワード王子が兄らしくたしなめる。


「こら、ジャン。セシリアに失礼じゃないか!」


ジャン王子は、兄にちらりと一度だけ目をやると何を言うこともなく、私に頭を下げてその場を立ち去った。


ちなみに、彼の髪の色はセオドア王やエドワード王子と同じ赤色であるが、髪質かあるいは、レイラ王妃の血も引いたのか、その色は少しだけくすんでいた。

いや、正確にはエドワード王子などの髪色が通常より鮮やかすぎるのだが。


そういったことから鑑みるに、ジャン王子にはコンプレックスがあるのかもしれない。


……何だそれ。

可愛らしいことこの上ないな!


それに、名前も短くて発音しやすそうである。

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