第7話 別視点。

きょうは、五さいになったぼくのために、かていきょうしのおにいさんがきてくれる。


これからまなぶことは、ぼくがおとうさまのようにりっぱにたみをまもるためにひつようなこと。


おかあさまやかわいいいもうとのセシリアもまもれるようにつよくなるんだ!


それに、きょうはそのセシリアもぼくのおべんきょうをみてくれている。

ちゃんとセシリアのそんけいするあにになりたい。うん、がんばるぞ。


セシリアはぎんいろのかみのけがおとうさまと、とてもよくにていてかっこいいいもうとなんだ。


あまりわらわないし、なきもしない。

おこることだってしない。

だから、いまいちセシリアがなにをかんがえているのかはわからない。


でも、ぼくはしってるんだ。


セシリアがにわにやってくることりたちにエサをあげているときに、やさしく目をほそめていることとか。


ぼくがほしいなとおもったおかしを、わざとほしがらずにぼくにゆずってくれることとか。


セシリアはじまんのいもうとなんだ。

わらったらかわいいのに。

ほんとうはやさしいのに。

むひょうじょうだから、はじめてセシリアとあった人たちは、セシリアのことをあまりよくおもわないみたい。


でも、それでもいい。

ぼくたちかぞくや、このやしきの人たちはみんなセシリアのことがすきだから。




…………なんてことを思いながら、ボビー様は今、お勉強していらっしゃるのでしょうか!


そんなお兄様の様子を後ろで静かに見守っていらっしゃるのは、セシリア様。


あぁ、なんと愛くるしいご兄妹なのでしょうか!


アネット様のお優しい顔立ちをそのまま譲り受けたボビー様は、その心根もまた清らかで美しくいつも妹のセシリア様のことを大切に思っていらっしゃるようですし。


私のお仕えするセシリア様は、三歳ながらアルトン様譲りの少しばかり冷たい印象のする顔立ちではありますが、それがより一層彼女が知性溢れる方であることを証明しているような気もいたします。


どこか浮世離れしたセシリア様ではありますが、時折見せる微笑みに私はいつも心臓の止まる思いが致しているのですよ。


ヘレンは、セシリア様にお仕えすることが出来て、本当に幸せ者でございますね。


今日も今日とて、溢れそうになる思いを必死にこらえ、私はお二人の様子を見守るのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る