第2話 家族について。

とは言え、だ。

赤ん坊である私に、この世界のことを教えてくれる人なんていないわけで。


寝返りさえ打てない私は、ふかふかの大きなベッドの中で、やってくる人たちを観察することしか出来なかった。


ということで、徐々に分かってきたことを整理していこうか。


まず、私の名前はセシリアだそう。

どことなく可憐なイメージである。

恐らく、期待に添えない娘になるだろうが。

また、姓は今のところ分かっていない。


次に、家族について。


「セシリア、元気にしていましたか?」


優しくそう言って私を抱き上げるのは、ミルク色の髪をした女性だ。

これが、私のお母様アネットだ。


かなり美人である。

そしてまだまだ若々しい。


「おや、セシリアはまた仏頂面なのかい?」


そう言って部屋に入ってきたのは、銀色の髪をした美丈夫。

これが、私のお父様アルトンであった。


これまたかなりのイケメン。

そしてまだまだ猛々しい。


たぶん、再来年あたりに弟か妹が出来ると思う。


そして、そんな彼の腕の中にはお母様と同じ髪色をしたお兄様がいた。

私より二つ年上のお兄様である。


ボビーという名前だ。

なかなか気取っていない名前で、私は勝手にお兄様を気に入っている。


その他にメイド服を着た侍女のヘレンがいる。私のお世話係だ。

彼女は今も部屋の隅で静かに立っている。


他にも使用人はいるようだが、まだ目にしていない。


また、部屋の大きさや家族の生活ぶりからしてどうやら私は貴族の家に生まれてきたらしい。

そのことが私にとって幸となるか不幸となるか。ちょっとだけ心配かもしれない。

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