魔女とルッツ

雪月華@33331111

夜蝶の魔女とルッツ

「夜蝶、夜蝶、私は夜の蝶」

幼い頃、聞いた声

今でもその言葉が耳から離れないーーー。



【夜蝶の魔女とルッツ】

side・ルッツ


「夜蝶、夜蝶、私は夜の蝶」

その声はまるでシルクのようで、艶やかな声。

幼い頃聞いたあの声と少しにている。

なにぶん幼かった。

だから夢と思っていた、あの声。

夢じゃ、なかったーーー?

思わず嬉しくて草花を掻き分け声の主へ近づく。

「あ・・・」

紫色の長い髪の毛。

薄い紫の瞳。

ピンク色の唇。

爪は夜空のように飾られている。

「・・・だぁれ?」

目には夜空のように星が輝いている。

身長は低めで、145センチ程だろうか。

青いドレスを着ていて、前髪を止めているのは蝶のヘアピン。

ハイヒールは空色で、まつげはとても長い。

腕は簡単におれるのかというほど細く、スラッとした体。

すっかり魅せられていた。

「あの・・・だぁれ?」

「あっ・・・俺、ルッツ。ルッツ・トルンゼーア」

トルンゼーアって言えばこの辺りの子供は皆あ、あの金持ちのか。って思う。それが嫌だった。でもこの子にだけは俺の名字を知ってほしかった。

「とるん、ぜーあ?ふぅん?私、は・・・ジェシカ・セレナーデ・・・」

この子はセレナーデ。とても綺麗な名字だと思った。

「別名、・・・夜蝶の魔女」

「やちょう・・・?」

聞いたこと無い名前だった。

「あなたは・・・私・・・怖く、ないの?」

「・・・『あなた』じゃなくて、ルッツ」

「・・・ルッツは、私、怖く、ない?」

「なんで?」

正直疑問だった。

「え・・・、、、だって、にんげんはみんな私を、、見ると、、・・・夜蝶だ、蝶だ、ちかづくな・・・何て言うもの・・・」

「そいつらはそいつら。俺は俺。人間にも色々いんの!」

「人間・・・にも・・・魔女にも、色々いる、、、みたいに・・・?」

「魔女に色々いんのかは知らねーけど、多分!」

「そ、う・・・ルッツ、って、不思議、ね・・・」

その時ふんわり笑った顔がかわいくて。

俺の脳内にくっきりと焼き付けられた。

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