魔銃使いの最強おじさん、知識チートで異世界復興!~三国志? 水滸伝? いいえ、とあるおっさんの異世界建国記です~
骨折さん
プロローグ
第1話 異世界転移を繰り返す男
これはとある世界の物語。
かつてその地は魔物に支配されていた。
男は殺され、女は慰み者にされていた。
だがその地に一人の男が現れる。
男は大いなる力を持っていた。
その力を振るい、魔物を全て駆逐し人々に安寧をもたらした。
解放された人々は男にこの地の王になってくれるよう頼んだ。
だが男は「帰らなくては」と言って人々の前から姿を消した。
そして時は経ち、また別の世界に男は現れる。
その世界は虐殺王と呼ばれる君主によって支配されていた。
男は人々をまとめ、虐殺王に立ち向かう。
苦戦はしたが、男は王を倒しその国を平和に導いた。
人々は男に君主として、その地を治めるよう懇願した。
だが男は「帰らなくては」と言って人々の前から姿を消した。
その後も男は突如現れて、世界に平和をもたらしては消えるを繰り返す。
男は再び同じ世界に現れることはなかった。
だが男が去った後の世界は永く平和を保ち、どの世界でも千年王国が出来上がることになる。
どの世界でも男は英雄として讃えられた。
とある世界ではおとぎ話の主人公として。
とある世界では吟遊詩人が男の歌を歌った。
そしてまた別の世界に男は現れる。
そこは様々な種族が住まう世界。
人族、エルフ、ドワーフ、竜人族と多様な種族が暮らしている。
そこは平和な世界だった。
多少異種族間で小さな争いはあったが、戦争になることはなかった。
だが百年前、人族が支配する北の国コアニマルタに一人の魔女が現れる。
魔女は人族をまとめ上げ、他の種族が支配する国を襲い始める。
魔女の力を得た人族は瞬く間に他の国を蹂躙した。
人々は魔女の支配に抵抗すべく戦いを挑むが……
魔女の持つ力の前にひれ伏すことになる。
生き残るには逃げるしかなかった。
人々は走る。生き残るために。
だが、魔女の軍勢は全てを駆逐する勢いで他種族を追い続けた。
多くが殺される中、一人の少女が藪に隠れ、身を潜める……
「はぁはぁ…… 神様、助けて……」
少女は藪に身を潜めながら、ガタガタと震え、応えぬ神に祈り始めた。
だがその願い虚しく、少女が隠れる藪に魔女の軍勢が近寄ってくる。
ザッザッザッザッ
「この近くにいるはずだ! 探し出せ!」
「はっ!」
ガサッ ガサガサッ
兵士達は槍を手に藪を掻き分ける。
「ひっ!? 神様……!」
少女は怯えていた。
無理もないだろう。
彼女は多少魔法は使えるが、年端もいかぬ少女に過ぎない。
このままでは見つかってしまう。
だがその時。
「おーい! 向こうに女がいるらしいぞ! 集まれ!」
「はっ!」
ザッザッザッザッザッ……
兵士達は去っていった。
運がいい。
少女は兵士に見つかることはなかった。
逃げなくては。
少女は震える膝を叩き、藪を抜け森へと入っていった。
◇◆◇
「はぁはぁ……」
どのくらい森の中を歩いたのか分からない。
少女は己の限界を超え逃げ続けた……が、そこまでだった。
バタッ……
力無く膝から崩れ落ち、地面にひれ伏す。
「もう駄目…… 私死んじゃうのかな……?」
少女はゆっくり目を閉じる。
ザッザッザッザッ
飛びそうになる意識の中、誰かが近寄ってくる音を聞いた。
少女は最後の力を振り絞り目を開ける。
そこには男がいた。
人族の男だった。
敵であるはずの種族なのに……
男は笑っていた。
他種族を見下すような下卑た笑みではない。
慈愛に溢れる笑みを湛えていた。
「誰……?」
「はは、もう大丈夫だからな」
男の言葉を聞いた途端、少女は安心したかのように目を閉じる。
憎き人族の声なのに。
なぜ?
その答えに行きつく前に少女は意識を失った。
これがこの世界を平和に導く二人の最初の出会いだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます