第9話 スマホに転生する
雪音は1人事務所で留守番をしていた
「くっそーなんで出ないんだよー、これで課金が200万超えた!!」
「はあはあ、この程度で出ないと分かっていても、後には引けない・・・」
全世界で大ヒットゲーム「ワンダー、ワンダー」その世界一の大企業が今回人工知能搭載のキャラを限定で出現させる、しかも運営の動画には全く別のゲームを1プレイヤーとしてパーティを一緒に組んでいる映像が拡散されており、ゲーム外でも人工知能がサポートしてくれるという噂も飛び交っている未知数のキャラであり、全世界で熱狂的なキャラ獲得合戦が行われていた
そこに小池さんから電話が鳴る
「雪音さんですか、大変なことになりました、英二郎さん達が行方不明になったようで、どうしたらよいのか分からなくて」
「うん、うん、わかったとりあえず課長に連絡するので、ちょっと待ってくれる」
一旦電話を切り、課長に電話するが繋がらない
「まったく、こんな時に使えない上司だねぇ」
「そんなことよりガチャの続きを・・・」
1回500円、それを10連で引き続ける、10万円などあっという間に消えていく
ここまでお金をかけ出すと頭がボーっとしてきて引き際が分からなくなってきていた
その時いつもとは違う色の光方をする
「え、え、もしかしたら・・・」
雪音は期待で心臓がはち切れそうだ
すると、サラリーマン風のキャラが現れる
「・・・こんなキャラ居たっけ??」
するとスマホから声が聞こえてくる
「雪音さん?」
いつの間に電話が繋がったのだろう
「あれ、英二郎さんいまどこにいるの、小池さんが探していますよ」
「目の前です」
「え?」
「目の前ですよ」
雪音はキャラをタップしてみる
するとキャラの名前に英二郎の文字が
「え、え、どういうこと、まったく理解できないんだけど・・・」
「すいません、どうやら死んじゃったみたいで、魂だけスマホの中に入ってしまったようで・・・」
「あ、そうなんだ・・・」
しばらく沈黙が続く
「え、死んだの?」
「はい、正確には20年前に死んでいたようです」
「あー、あー、何を言ってるのかさっぱり分かりません・・・、これはドッキリよね、ゲームのキャラまで作るってちょっとやりすぎじゃない?」
「なになにステータス?・・・レベル34で数値が10以下ばかり、うわー、なにこのゴミキャラ・・・」
「すいません、なんか自分を数値で表されると恥ずかしいですね」
「もうそういうの良いから、バレたんだし姿を現しなさいよ」
「・・・いやー、そうしたいんだけど無理なんです」
「ホントに死んだの?、小池んさんの電話もホントなの?」
「ホントなんです、信じてください」
「そんな話が信じれるわけないでしょ、まだなんか隠してるような気がするが、まあ騙されてあげるわ」
「そっちからこっちは見えてるの?」
「はい、カメラを通じて見えてますね、どういう仕組みかわかりませんが・・・」
「あ、そんなことより僕を公園へ連れて行ってください、一応無事だと伝えたいので」
《公園でなにか仕掛けをしてるっていうだね、行ってやろうじゃないの》
「まあ、とりあえずこの変なスマホと一緒に居るのも気味が悪いのでいいわ、連れて行ってあげる」
タクシーを拾い現場へ向かう
道中で雪音は英二郎にいろいろ命令してみる
《これは音声認識より便利かも》
自分だけの特別なスマホに少し考え方が変わりつつあった
公園へと到着すると成人女性と小池さんに、少女2人が待機していた
ここに来る途中で英二郎からすべてを聞いていたので理解はできたのだが
騙そうとしているにしては手が込みすぎている、やはり真実なのかと思い始めていた
「小池さーん」
「あ、雪音さん、ぼ、ぼ、ぼ、ぼくはちょっと用事があるので失礼します」
「こ、こいけさ・・・・ん」
小池さんは頭を下げながら走り去ってしまった
その様子をデルタと少女2人がこちらを見ている
《げ、なんて気まずい空気、いやなところへきてしまったね、特にこのデルタとかいう女性なんだか怖いんだよね》
「会社の方ですか、申し訳ございません、私たち守れなくて」
デルタは雪音に頭を下げる
「そ、そんな頭を下げられても、きっと皆さん無事ですよ、わたしは感が鋭いから、大丈夫ですから皆さん安心してください」
イヤホンの英二郎から声が聞こえてくる
「まもなく戻ってくると思います、ケガ人もいますのでいつでも出られるように指示してください」
《え、それ言うの?信じてくれるの?》心で呟く
「あのー、なんかもうすぐ戻ってくるみたいで、あとケガしてるようなので、すぐに病院へ行けるようにしておいてください」
デルタは一応不思議そうに指示に従いいつでも出発できるようにスタンバイする
するとどこからともなく夕凪達が現れ、デルタはすぐにアルファ達を車に乗せ病院へと向かう
夕凪達の友人もいることから後日合うことを約束しその場は解散となった
「やっぱりドッキリじゃなかったんだ・・、で、英二郎はこれからどうするの?家族は居るの?」
「いや、独身ですよ、身寄りはないです、それよりアパートを解約しないといけないな」
「いやに冷静なんだね」
「心臓がありませんからね、恐怖や怒りに左右されることのない思考はとても気分が良いですよ」
「ああ、そうなんだ」
「まあ、帰ろうか・・・」
「了解、あ、ちなみにゲームのキャラはでませんよ、どうやら吸収してしまったようです、課金したお金も帰ってくるようにしときましたので」
「今日はもう何があっても驚かないわ、神様これはきっと夢ですよね」
雪音はスマホを手に駅へと向かっていった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます