第109話 ファッションヤンキー、次回イベントを確認する

「着ねーよ?」

「それはヤンキーキャラが崩れるからか?」

「おう」


 これだけは譲れないからね。このヤンキーを捨てたら私このゲームの個性的なプレイヤー達に吞まれかねないからね。

 断固として拒否の意向を示したら竹輪天さんも残念そうにはしていたけど服を片付けてくれた。


「だがオウカ、似合っているのは事実だ。お前が良いならリアルの方で女性らしい服に挑戦してみたらどうだ?」

「……考えとく」


 リアルなら、まぁ。このゲームも懸賞で当たったから財布には多少の余裕はある。服の専門家っぽい竹輪天さんが言うなら本当にそうなんだろう。嘘をつくような人じゃないしね、機会があったら試してみよう。

 さて、本来の目的なんだけど……


「つまり、一から服を作るしかないと」

「あぁ。それにスキルが付くのは基本的にランダムだ。狙って耐性を付けることが出来るならもっと儲けたことだろうな」


 うーん、そうなると耐性スキルが付与されるまで私の装備作ってーというのは難しいな。私以外にも勿論顧客はいるわけだからね。私を優先してなんて言えるわけがない。

 かと言って他に頼れる人もいないのでもし、店頭に置く分で耐性スキルのついたヤンキーっぽい服が出来たら教えてもらうように頼んでおいた。これくらいならいいでしょう。

 てなわけで今日はログアウト。あぁ、今日もまた濃い一日だった……


次の日


 ログインしました。ログインしたのはいいけどいきなりメッセージが入ってきた。差出人は運営。タイトルは次回イベント予告?ほほう?

 へぇ、次のイベントはPVPねぇ……なるほどなるほど?


・イベント期間は3日間

・参加者はメニュー画面より対戦ルールを選択(1対1・チーム戦・バトルロワイアル)し、参加ボタンを押す

・マッチングが開始され対戦者が決まると該当プレイヤーにメッセージが届き、対戦するか否か決めることが出来る。(なお、対戦相手は互いに不明とする)また、対戦マッチング状態は解除も可能。

・重要なクエスト時・ボス戦時には自動的にマッチング状態は解除される。

・対戦フィールドはランダムに決定され、対戦者はどこにいてもフィールドに転送される。

・自前・チームのHP回復ポーションは使用不可。一部アイテムには制限が入る。

・勝者にはポイントが付き、敗者にはポイントはつかない。

・保有ポイントが近い者同士マッチングするように設定されている。

・ポイントの総量によってランキングが構成され、イベント終了時上位のプレイヤーには記念品が贈与される。

・イベント終了後、獲得したポイントでアイテムと交換できる。


 細かいルールは色々あるけど大体はこんな感じか。開催日は2日後かー……宝探しゲームの時と違って私にはうってつけのイベントみたいだね。そういや、宝探しゲーム終了の時に運営が次回は対戦系かもなんて言ってたね。回収したか。

 へぇ、対戦ステージの一例も公開されているんだ。荒野に草原に闘技場。へぇ、街ってのもあるのね。これはあれかね、いくら建物を壊しても問題ないのかな。……んん?一軒家?家の中でバトるの?あーでも小回りきく職業だったら有利に戦えそうね。


 いやはや、面白そうなイベントだね。逆に生産職には向いてないともいえるけど、そこはまた次のイベントが生産職寄りになるかもしれない。そしたら戦闘職は暇になるけど、お互い様か。

 ……いや待て?翌々考えたら一部生産職戦えるな?某鍛冶師ロリドワーフとか。あの人私が及ばないモンスター瞬殺しちゃったからねぇ。あれ?そういや、犀繰はどうなるんだろ。いや、勿論1対1の場合には使わないけども……何々?使役モンスターなどはテイマーやゴーレムクリエイター等の職業じゃないと参戦不可。はい、犀繰今回出番なしね!


「と、すると俺がすべきことは……装備かのぉ」


 服は一旦このままでいいとして、不動嚙行以外の武器……あぁメリケンの存在忘れてたよ。一応サブウェポンだけど全然使ってないんだよね。不動嚙行で事足りちゃうから。でもずっと初期ってのもなぁ……パックンさんのところ行ってみようか。

 あとは戦闘してレベルだったりスキルも新しいものを取得しておきたいな。もし知り合いと当たっていたら絶対対策されるもんね。私弱点分かりやすすぎるから。だからこそ楽しみだなぁ、私になら絶対勝てるって思った相手をボコりたい!


「フフ、ふ、ふふふふふ」


 おおっとしまった。楽しみのあまり笑みが零れちゃったよ。あー、でも抑えきれない。ふふふ。


「ひぇっ」

「え、何あの人こわ」

「近寄らんとこ」

「何かまた面白い顔してんな」


 いろいろ言われてるけど気にしなーい!!おら、さっさとパックンさんのところ行くぞぉ!

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