第22話 アイアーレー

「ここが魔界と冥界の境!? 何にもないのね。」

 俺たちは魔界と冥界の境にやって来た。魔界と冥界の境らしく宿場町もなく静かな所だった。

「ここから向こうが冥界か。」

 俺は何も気にせずに一歩、冥界に足を踏み入れようとした。

(ダメー!!!)

 俺を呼び止める声が聞こえて、俺は足を踏み出すのを途中で止めた。

「セーラ姫、今、俺に声をかけましたか?」

「いいえ。私じゃないわよ。」

「あれ? 誰かに声をかけられたはずなのにな。」

「そんなことより早く私のご先祖様を見つけて、幽体離脱を治す方法を聞き出しましょうよ。」

「そだね。」

 俺の勘違いだったみたいだ。

(危ない! 早くここから離れて!)

 まただ。俺を呼ぶ声が聞こえる。

「誰かがいる!? どこから声をかけているんだ!?」

 俺は周囲を一回転するように見渡す。

「死ねえー!」

 その時、上空から巨大な闇の塊が降って来る。

「危ない! 上だ!」

 間一髪だった。俺が周囲を索敵していたおかげで、セーラ姫たちは巨大な闇の塊をかわすことができた。

「何者だ!?」

「私の名前は怒りのアイアーレー。真に新しい魔王7将軍の一人だ。インビディアの仇を討たしてもらうぞ。」

 現れたのは真に新しい魔王7将軍の一人、怒りのアイアーレーだった。

「インビディアの仲間か!? 奴の仲間らしく不意打ちが好きなようだな。」

「なんとでも言え。戦いなんて、勝てばいいのよ。勝てば。」

 アイアーレーはインビディア同様、最低な性格の持ち主だった。

「あ~ら、残念ね。私も不意打ちが得意なのよね。地のハリウッド・パワー! 地魔法! スロー・アース!」

 スカーレットは地のハリウッド持ちで、魔法で大地を投げて、アイアーレーを攻撃する。

「ギャア!?」

 アイアーレーは土の塊に当たって死んだかに見えた。

「やったか!?」

「こんなものでやられるかー!」

 しかしアイアーレーには攻撃は効いていなかった。

(危ない! 来るよ! 来るよ! ここから逃げて!)

 また俺の心に声が聞こえた。

「あいつじゃないのか!? まだ他に何かが来るっていうのか!?」

 アイアーレーだけでも厄介なのに、まだ他にいると謎の声が叫んでいる。

「アルティメット・スラッシュー!!!」

 どこかからか究極の一撃が飛んでくる。

「ギャアアアアアアー!?」

 あのアイアーレーを一撃で消滅させる。

「大丈夫か? 我が孫よ。」

 最強のハリウッドのハリウッドを持っている剣士が現れた。

「孫!? もしかして!? わ、私のご先祖様!?」

 セーラ姫を孫と呼ぶ、この男の正体とは。

 つづく。

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