アルベル
江戸端 禧丞
料理店のオーナー
広い料理店で慌ただしく動く店員たちの様子を、監視カメラの向こう側からのんびりと見ながら、店長のアルフォンソ・ベルディーニが自分の部屋で
ここは人肉を主に扱っている老舗カフェレストラン〈アルベル〉、常闇に包まれた魔界の王都イルベスタで営業されている。常連は、
さて、店長アルフォンソ率いる店員の殆どは食人型の魔人で、主食は人間の肉だ。ゆえに
「ぅおらぁっ!!店長よぉっ!テメェの頭スッカラカンかよ!!」
長身の男が、怒鳴りながら部屋の中へドスドスドスと踏み込んでくると、店長の胸ぐらを掴み前後に激しく振った。その男の名前はヴィルフレード・ガラヴェッロ、焦げ茶色の短髪に同色の切れ長い眼の美丈夫、アルベルのコック長だ。豪快で明るい彼が怒ることは殆どない、そんな事態に持ち込んでしまうのはアルフォンソくらいのものだ。
「…まっ…待って待って、悪かった、私がっ、悪かったぁぁ~」
「じゃあさっさと仕入れしてこいっ!!肉足んねぇんだよ!!!」
「……はぁ〜い…」
今この瞬間だけ見れば、とても店長とは思えない扱いをされているアルフォンソだが、普段からこうというワケではない。いつもは店長として、高級店に相応しい肉を自ら探して世界を回り、場合によっては天上界に住む人間を直接狩りにいくこともある。ただ今回は、1週間前に30万体分の良質な肉を
アルベルの地下には、要塞のように堅牢かつ巨大な貯蔵庫があるのだが、それが
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