バディ・ウェポン・オンライン ~もらった武器は火かき棒~
あきさけ
〈バディ・ウェポン・オンライン〉にようこそ
「おめでとうございます! あなたの初期武器はウルトラレア装備【火かき棒】に決定しました!」
「って、火かき棒!?」
「はい。とっても強いですよ!」
私、
そして、最初の武器選択で選ばれたのは、なんと【火かき棒】だったのだ。
どうしてこうなった!?
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「ふむふむ、ゲームスタート時に、最初の武器を選ぶのね」
私はゲーム紹介サイトで〈バディ・ウェポン・オンライン〉の情報を集めていた。
なんでそんなことをしているかというと、友達に一緒にやらないか、と誘われたためなんだよね。
その友達も、最近〈バディ・ウェポン・オンライン〉を始めたみたいで、一緒にプレイしてくれる人を探していた……というか、私に狙いを絞って一点突破してきた。
……まあ、私の趣味がゲームなのは、広く知られいることですし、かまわないけど?
というわけで、誘われるがまま、〈バディ・ウェポン・オンライン〉を始めることにしたのだ。
で、とりあえず、ということで、情報サイトを読みあさっているわけ。
「とりあえず、ゲーム開始してからしばらくは初期武器しか使えないのね。これは慎重に選ばないと……」
で、初期装備の紹介ページを開いて見るけど……なんていうかごっちゃごちゃだった。
わかりやすい西洋風の剣もあれば刀もある、槍があれば薙刀がある、ほかにも、斧、鎌、銃、弓などなど……。
数えたくないけど、百種類くらいはあるんじゃないの?
っていうか、ここまで考えた人、絶対頭おかしいよね!?
「……いかん、初期武器をなににすればいいかわからなくなってきた」
これだけ種類があると、やってられないよね。
どうしよう?
「ええと、ランダムもあるのか……そして、ランダムだとレア装備が出ることもある!」
レア装備!
響きだけで心躍る!!
これはランダム一択でしょ!!
「これで決まりだね! さて、それじゃあ、ゲームもダウンロード済みみたいだし、早速始めよう!」
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
最近ではよくある完全没入型VRゲーム。
〈バディ・ウェポン・オンライン〉もそんなゲームだ。
さて、まずはキャラメイク……だけど、これはパーソナルデータをそのまま流用しよ。
で、顔をメイクの要領でチョイチョイといじれば……完成!
ほかの部分はいじらなくても大丈夫だよね。
次、種族選択。
えーっと、種族によるステータス差はないのね。
じゃあ、獣人とかいいんじゃない?
色々あるみたいだけど、犬獣人にしておこう。
で、髪とか尻尾は……赤色でいっか。
グラデーションさせて、燃えてるみたいな感じに。
うん、いい感じ、いい感じ。
やっぱりゲームは派手じゃないと!
次は……成長タイプ選択?
初期ステータスは皆一緒だけど、成長タイプでステータスに差が出てくる……と。
うーん、これはいま決めなくてもいいみたいだから、後回しかな。
手に入った武器に従って決めよう。
あとは初期装備の色とかだけど、あんまりこだわれないみたいだし、赤系で統一しておこう。
それから忘れてた、名前入力。
名前は……トキワ=サイレントでオッケーかな。
……よし、重複チェックも突破!
最後はお待ちかねの武器選択!
それで、ランダムを選びたいときは、まず最初にヘルプAIを呼び出すのね。
それじゃあ、AIさん、カモーン!
「お呼びですかー」
出てきたのは妖精みたいな小さい人型AI。
この子がナビゲートしてくれるのかな?
「呼んだ呼んだ!」
「はーい、なんのご用でしょう?」
「武器選択で、ランダムをやりたいの。準備をよろしく!」
「わかりましたー。ルールの説明はします?」
あれ、ルールなんてあるんだ。
いちおう聞いておこうかな?
「じゃあ、説明ヨロ」
「はーい。ランダム選択は最大四回までチャレンジできます。一回で即決定じゃないですよー」
「おー、それは嬉しいね」
「ただし、結果を持ち越すことはできません。一回目が不満で二回目に挑む場合、一回目の武器は選べなくなりますよ」
「そっか。慎重に選ばないとね」
「その性質上、四回目に挑んだ場合、強制的にその時の武器になりますからねー」
「おっけー。説明はそれだけ?」
「そうですねー。あとは、当然ですけど、一度ランダム選択を始めたら、通常選択はできなくなりますから注意してくださいねー」
「りょうかい! じゃあ、早速一回目の抽選をよろしく!」
「わかりましたー。では……えいっ!!」
AIはどこからともなくサイコロを取り出して、それを投げた。
まさかサイコロの目で決まるの!?
と思ったら、サイコロが光り始めて中から武器が出てきた。
その武器は……。
「ロングソードですねー。剣カテゴリーでは標準的な武器のひとつですよー」
「だよねぇ。これのレア度は?」
「勿論、コモンなのですよー」
ですよねぇ。
ただのロングソードがあたりなわけないし。
「AIさん、二回目をよろしく」
「はーい、とーりゃ!」
二回目のサイロ投擲。
そして、サイコロから出てきた武器は……。
「おめでとうございますー。スーパーレア武器【ブラストM82狙撃銃】ですよー」
出てきたのは、めっちゃごつい狙撃銃。
ってうか、これ、伏せ撃ちしなくちゃダメな奴?
「スーパーレア武器だけあってとっても強いですよー。具体的には、最初のボスもヘッドショットで一発です!」
「へえ、そんなにすごいんだ。デメリットは?」
「重い。反動が大きい。撃つのにたくさんのMPを消費する。しっかり弱点部位を撃ち抜かないと、ドロップ品のランクが下がる」
「デメリットだらけじゃない」
「でもでも、最初に手に入る銃火器カテゴリーでは最強ですよー? これにしませんか?」
へえ、これが最強なんだ。
……ああ、でも、先に始めている友達が、どんな武器を使っているのか聞いておけばよかった。
こんな鈍亀スナイパーになるのが決まっている武器、相性がいい組み合わせじゃないと絶対詰まる。
……最強武器、非常に、非常に惜しいけどパスだね。
「AIさん、三度目へ」
「もったいないですねー。スーパーレア武器は1%しか出ないのに。まあ、ご要望とあれば次に行きますけどー。とうっ」
三度目のサイコロ。
そしてサイコロの中から出てきたのは、ちょっと豪華な中華風の剣。
「アンコモン武器の【青竜刀】ですねー。わずかですが、水属性の攻撃力もあるお手頃なしなですよー」
なんだろう、AIの話が通販の売り込みみたいに聞こえる。
でも、青竜刀か……悪くはないんだろうけど、ちょっと地味よね。
もっとこう、周りがあっと驚くような武器、欲しいじゃない!
「AIさん、ラストお願いします」
「了解でーす。たぁ!」
最後、四回目のサイコロ投擲。
サイコロから武器が出現しようとしたとき、虹色の光が吹き荒れた!
「おお、これはウルトラレア予告ですよ! 運がいいですねー!」
最後、四回目でウルトラレアとか!
友達に会ったら、絶対自慢してやるんだから!
目に余り優しくない光の奔流が収まったその時、光の玉の中から私の相棒となる武器が姿を見せた。
「おめでとうございますー。 ウルトラレア装備【火かき棒】、当選ですー!!」
「ちょっとまって、火かき棒なの!?」
「はい、火かき棒ですよ。とっても強い火かき棒です!」
……ともよ。
私、ゲームが始まる前から終わったかも知れない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます